データセンターはどんな場所にある?あなたに合った選び方を解説します! 第04回 23年10月 / 最終更新:2024.10.21
目次
ITが普及した現代のビジネスにおいて、データセンターは企業や組織のITインフラを支える重要な存在です。そのため、データセンター選びは慎重に行うべきですが、選ぶ際のポイントはたくさんあり、なにをポイントに選べばいいか悩む方も多いと思います。
その中でも、今回はデータセンターの「場所」に着目して詳しく解説します。
データセンターを選ぶ際、施設内の設備やサービス内容に目がいきがちですが、場所も意外と重要な要素です。本コラムではケース別の具体的な選び方も解説するので、データセンターの利用を検討されている企業や組織の方は、是非参考にしてください。
データセンターとは?
まずは簡単にデータセンターについて説明します。データセンターはサーバや通信機器、データ保存装置などのITインフラを集中的に配置・管理する施設です。
データセンターの主な役割は、サーバや各種機器の管理、運用、高い可用性の維持などです。これらを実現するために、セキュリティ対策や電源の確保、冷却システムなどの設備を整えています。また、自然災害やシステム障害からデータを守るためのバックアップや冗長化も、データセンターの重要な役割です。
企業の大切な資産であるシステムやデータを守るために、データセンターは非常に大きな役割を担っています。
データセンターはどこにある?
データセンターはどのような場所にあるのでしょうか。ここでは、データセンターの「場所」について、詳しく解説します。
正確な住所は公開されない
データセンターは、多くの企業や組織の重要な情報を保管する場所であるため、高セキュリティであることが極めて重要な施設です。そのため、セキュリティ対策の一環として、データセンターの正確な住所は公開されないことがほとんどです。
とはいえ、完全に場所を秘密にしているわけではありません。多くの場合、「主要7都市」や「〇〇県△△市内」といった表現で、おおよその地域を公開しています。
内部は迷路のように複雑
データセンターは、建物の住所を公開しない他に、建物内にも物理的なセキュリティリスクを回避する対策が施されています。
まず多くのデータセンター内部は、迷路のように複雑になっていたり、入口が分かりにくかったりと、部外者がマシンルームへ容易に侵入できない設計になっています。加えて、通路やエレベーター、マシンルームの出入口には、生体認証やICカードなどを用いた入退室制限、多数の監視カメラ設置など、外部からの侵入を防ぐために二重三重に対策されています。
私が過去に利用したデータセンターも、何度もカード認証をする必要がありました。さらにマシンルームへ入るために顔認証を求められ、マシンルーム内へたどり着くまでにかなり手間がかかった記憶があります。
このように、企業や組織から預かった大切な資産を守るため、データセンターは物理的に強固なセキュリティ対策をしています。
データセンターの場所
ビジネスの中心地である東京都23区をはじめとした主要都市には、多数のデータセンターがあります。一方で、自然災害対策や電力供給の安定性を考慮し、近年は郊外にデータセンターを分散することも推奨されています。
特に日本は地震のリスクを考慮すると、全国各地のデータセンターにシステムやデータのバックアップを物理的に分散させることがリスクヘッジとなります。
さらに国内だけでなく、海外のデータセンターにシステムを設置する選択肢もあります。
コスト削減やリスク分散などの観点から、今後は海外のデータセンターを利用するケースが増加する可能性があります。
このようにデータセンターは、ニーズや地理的な要因などによって様々な場所にあります。それぞれの立地におけるメリットデメリットを考慮して、最適なデータセンターを選ぶことが重要です。
国内・海外のデータセンターの特長を比較
国内・海外のデータセンターは、それぞれのメリット・デメリットが異なります。ここでは複数の観点から国内・海外のデータセンターの特長を比較していきましょう。
【治安】国内のデータセンターが安全
治安面を比較すると、海外よりも国内のデータセンターの方が安全です。仮に治安が悪い国にデータセンターを設置した場合、テロや地域紛争、暴動などに巻き込まれる可能性があり、データセンター自体が破壊されるリスクがあります。
日本は世界の中で犯罪率が低い国であるため、比較的安全にデータセンターが利用できます。
【緊急時のトラブル対応】国内のデータセンターが安心
緊急時のトラブル対応を比較すると、国内のデータセンターでは通常、日本語でコミュニケーションがとれるため、言語による認識の齟齬が少なく、迅速な解決につながります。
一方、海外のデータセンターは、基本的には日本語以外でのコミュニケーションが必要となるため、認識の齟齬が発生しやすく、解決までに時間を要することがあります。海外のデータセンターを検討する際は日本語のサポートが充実しているかを確認する必要があります。
【電力供給】国内のデータセンターが安心
電力供給の安定性を比較すると、海外の国にもよりますが、国内のデータセンターがより安定していると思われます。日本の電力供給は比較的、安定していますが、海外ではインフラが十分に整備されていない地域も多くあります。海外のデータセンターを利用する場合には電力供給の整備状況を必ず確認しておきましょう。
データセンターの場所の選び方
ここからは、どのような場所にあるデータセンターを選べばよいのかを、ケース別に解説していきます。
ハウジングの場合
ハウジングとは、企業や組織が自らのサーバや通信機器を持ち込み、データセンター内のラックに設置して預けるサービスです。
ハウジングの場合、自社の資産としてサーバや機器がデータセンターに設置されるため、定期的なメンテナンスやトラブル発生時など、現地への訪問が必要となるケースがあります。そのため、データセンターを選ぶ際には、アクセスの利便性を考慮に入れる必要があります。
特に緊急時、現地への訪問に時間がかかることは大きなリスクです。そのため、データセンターへのアクセス時間を考慮して、緊急時のアクションプランを立てておくことが重要です。
ホスティング、クラウドサービスの場合
ホスティングやクラウドサービスを利用する場合は、サービスプロバイダが準備したシステムの一部を利用します。サーバや機器のメンテナンス、管理などはサービスプロバイダが行うため、利用者が直接データセンターを訪問するケースは基本的にありません。
従って、データセンターの立地については、アクセスの利便性よりも、安定性や障害への耐性が重視されます。特に日本のように地震が頻発する地域では、地震の発生頻度や地盤の強さを確認することが重要です。他にも洪水や土砂崩れなど、自然災害からデータセンターを守るための対策が十分にされているかが、大きな判断基準となります。
ホスティングやクラウドサービスを利用する場合、サービスの持続性やデータの安全性を優先して、データセンターの環境や立地を選ぶことが望まれます。
安全性を重視する場合
データの安全性を最優先する場合、いくつかのポイントを考慮する必要があります。
まずデータセンターは、セキュリティ面や電源の供給といった基本的なインフラが安定している点で有利です。ただし、日本は地震などの災害が起きやすいというリスクがあります。そういったリスクをカバーして安全性を確保するには、地方のデータセンターへデータを分散し、メイン利用のデータセンターと同時に被災するリスクを回避する方法が有効です。
また、自社にサーバ室を設置している場合やすでにデータセンターを利用している場合も、データを遠隔地のデータセンターにバックアップすることで、さらに安全性が高まります。
まとめると、データの安全性を最優先する場合、国内データセンターを利用し、さらにデータを地方のデータセンターへ分散をすることをお勧めします。
コストを抑えたい場合
システム運用には多額のコストがかかるため、なるべくコストを抑えたいと考える企業も多いでしょう。コストを効果的に抑えるには、海外のデータセンターを利用するという選択肢があります。土地代や人件費が安い国や地域のデータセンターを利用すれば、初期投資や運用コストの削減が可能です。
また、自然災害のリスクが低い地域を選ぶことで、予期せぬトラブルや復旧コストを抑えることもできます。
ただし、海外のデータセンターを選択する際はいくつかの注意点があります。治安の問題やセキュリティ基準の違い、電源供給の不安定さなど、セキュリティや安定性において、国内のデータセンターに劣るケースがあるため、この点は考慮が必要です。
コスト面のメリットだけでなく、リスクを十分に評価し、総合的な判断を下すことが重要です。
鈴与シンワートのデータセンター拠点について
国内にある鈴与シンワートのデータセンター拠点は、以下の6か所です。
・東京第一センター
・東京第二センター
・北陸センター
・大阪センター
・九州センター
・沖縄センター
各センターの特長について簡単に説明します。
東京第一センター
『23区内に立地、都心から公共交通機関でのアクセスが可能』
・地震の危険度が最も低いランク1※のエリアに立地
・大型自家発電機と潤沢な燃料備蓄により、安定した電力供給を実現
・24時間365日有人受付、生体認証・非接触ICカードによる入退館、ITVカメラによる監視
・新耐震基準に適合した地震や災害に極めて強いビル構造で災害に強い
・不活性ガス消火設備、超高感度煙・熱感知センサー、漏水センサーを完備
https://s-port.shinwart.com/service/center/tokyo/
※参考:東京都 震災対策条例第12条に基づく「地震に関する地域危険度測定調査(第9回)」結果
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2022/09/09/06.html
東京第二センター
『“超”都心型データセンター』
・都心のターミナル駅から徒歩2分 の好立地
・2つの変電所から複数の受電系統を確保し、安定した電源供給を実現
・共連れ防止のサークルゲートと生体認証装置により厳重な入退室管理を実現
・高密度ブレード型サーバの利用にも適した設備設計
・ビルは制震構造、データセンターフロアはフロア免震で二重の耐震対策
https://s-port.shinwart.com/service/center/tokyo2/
北陸センター
『地震のリスクを抑え、安定した電源供給を実現』
・5種類の免震装置を組み合わせ、地震の揺れを軽減する「基礎免震構造」を採用
・メインセンターとバックアップセンターを異なる電源周波数地域で構成することで非常時の電力使用制限リスクを低減
・6段階のセキュリティレベルで領域区分
・北陸特有の「冬季雷(ブリ起こし)」にも十分耐える雷対策
・床下吹出し・ラック前面吸気/ラック背面排気・天井リターン方式などの高効率空調方式を採用
https://s-port.shinwart.com/service/center/hokuriku/
大阪センター
『先進のセキュリティシステムなど最新技術を装備』
・ビルは耐震構造を採用し、地震に対する建物強度は震度6強クラスの地震に対応
・マシン室は床免震構造(ミューソレーター)を採用、震度7クラスの地震に対応
・2系統の電源ルートはそれぞれの配電を冗長化することで事業継続性を確保
・大規模災害に備えて遠隔バックアップ体制を構築
・冷却システムにより、ラック内のIT機器の温度上昇を効率的に抑制
https://s-port.shinwart.com/service/center/osaka/
九州センター
『自然災害を想定した、立地・設備・セキュリティを考慮した災害対策ビル』
・警固断層帯から0km以上、原子力発電所から50km以上離れた場所に開設
・積層ゴムを採用し、震度7の地震に耐える設計の免震構造ビル
・5段階のセキュリティレベルで領域区分
・本線・予備線方式で別変電所より2系統受電し、安定した電力を供給
・24時間365日の有人運用で夜間や早朝時の入館対応が可能
https://s-port.shinwart.com/service/center/kyusyu/
沖縄センター
『コストパフォーマンスに優れた立地と、行政支援や業務効率化によって高品質低価格なデータセンターを実現』
・IT産業振興に大規模な投資を行う沖縄県の行政施設を活用し、高品質のデータセンターやネットワーク及び高度IT人財の教育を低コストで実現
・さまざまな自然災害、それに伴う停電も想定したTier3※レベルのデータセンター
・有事の際に備え、UPS及び自家発電機を冗長構成で完備
・24時間365日体制でリモートサポート
・首都圏から離れているため、首都圏で発生した災害と同時に被災するリスクが極めて低い
※基準:日本データセンター協会(JDCC)が日本の実情に即した日本独自のファシリティスタンダードを目指して制定した「デー タセンター ファシリティ スタンダード」
https://s-port.shinwart.com/service/center/okinawa/
データセンターの料金やお見積に関しましては、ラック数、ラックサイズ、電力、回線、リージョン(地域)など、お客様の要望をヒアリングして、最適なプランを提案いたします。
お見積り、その他ご相談など、お気軽に以下からお問い合わせください。
https://www2.shinwart.co.jp/l/907272/2022-01-17/3nzm9
まとめ
本コラムでは、データセンターの場所について、具体的なケースの選び方も含めて解説しました。
データセンターの場所は、国内の主要都市と郊外、海外の3つに分類されます。それぞれにメリットとデメリットが存在するので、利用者が何を重視するかにより選択することが大切です。
鈴与シンワートは、東京の2拠点に加え、大阪・北陸・九州・沖縄の計6拠点にデータセンターを展開しています。ハウジングサービスやホスティングサービス、クラウドサービスの他、ハウジングサービスとクラウドサービスのハイブリッドも選択できるなど、お客様のニーズに合わせて最適なサービスを提案します。
データセンターの利用を検討される場合は、是非鈴与シンワートにご相談ください。
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