AIワークロードとは

AIワークロード(AI Workload)とは、AIシステムの構築・運用に必要な一連の計算処理・作業プロセスの総称のことです。AIモデルの開発、学習(トレーニング)、推論(推測・実行)、デプロイ(展開)などの工程が含まれています。

AIワークロードの主要プロセス

AIワークロードは、以下のようなプロセスで構成されています。

データの前処理

AIモデルの学習では、前処理として膨大なデータを整備・加工しなければなりません。ノイズの除去、欠損値の補完、正規化、ラベリングなどを行い、モデルが学習しやすいデータ形式に変換します。前処理の質がAIの精度に直結するため、非常に重要なプロセスです。

モデルの学習(トレーニング)

前処理が完了したデータを使って、AIモデルにパターンや特徴を学習させる工程です。このプロセスでは、膨大な量のデータと高性能な計算資源(GPUなど)が必要とされ、長時間の学習を必要とすることがあります。

推論(推測・実行)

学習済みのモデルを活用して、新しいデータに対して予測や分類を実行する工程です。リアルタイムでの応答が求められる場面も多く、処理速度と安定性が重視されます。

モデルのデプロイ

トレーニングが完了したAIモデルを、実際のサービスやアプリケーションに組み込み、利用可能な状態にする工程です。クラウド環境に展開したり、エッジデバイスに導入したり、APIとして提供するなど、さまざまな実装方法があります。運用後もモデルの更新や監視が必要となるため、スケーラビリティ(拡張性)や保守性も重要なポイントです。

AIワークロードを支える技術

AIワークロードは、以下の技術で支えられています。

GPU(Graphics Processing Unit)

GPUは、AIモデルのトレーニングや推論に不可欠な並列計算処理に優れたプロセッサです。特にディープラーニングでは、数百万〜数億単位のパラメータを学習させるため、処理に膨大な時間がかかります。GPUを活用することで、トレーニングの時間を大幅に短縮し、高精度なモデルをより効率よく開発できます。

コンテナ

AIモデルの開発からデプロイまでの工程では、開発環境の再現性やスケーラビリティが重要です。コンテナを使うことで、依存ライブラリを含めた環境をパッケージ化し、どこでも同じ環境で実行できます。さらに、Kubernetesなどのコンテナオーケストレーションツールを利用することで、学習・推論タスクのスケジューリングや自動スケールも容易に管理できます。

MLOps (Machine Learning Operations)

MLOpsは、AIモデルのライフサイクル全体を効率的に運用管理するためのアプローチです。モデルの学習からテスト、デプロイ、精度の継続的監視、再学習までを一元管理することで、継続的にAIを改善・活用できる体制を整備できます。