Tier基準とは

Tier(ティア)基準とは、アメリカの第三者機関「Uptime Institute」が策定した、データセンターの信頼性や可用性、災害耐性、設備の冗長性などを評価する国際的な品質基準を指します。

Tier基準は、データセンターの設計や運用の信頼性を客観的に評価・比較できるものとして、世界中で採用されています。Tier基準は、Tier 1〜Tier 4の4段階で構成されているのが特徴です。数字が大きくなるほど、より高いレベルの信頼性・冗長性を備えた設計と判断できます。

Tier基準の重要性・メリット

Tier基準は、単にデータセンターの格付けというだけでなく、企業のIT環境の安定性や将来の成長戦略にも大きく関わる重要な指標です。ここでは、Tier基準の重要性・メリットについて詳しく解説します。

可用性の向上につながること

Tierのレベルが高くなるほど、電源や空調設備などに高度な「冗長性(バックアップ機能)」が備えられており、仮に一部の設備が故障しても、すぐに予備系統に切り替えることができます。これにより、システム停止やサーバダウンといったトラブルを回避しやすくなり、可用性が大きく向上します。特に、24時間365日の稼働が求められる業種にとって、Tier基準は重要な要素です。

運用コストの最適化につながること

高いTierは信頼性に優れていますが、設備や運用のコストも増大します。そのため、自社の業務に見合ったTierレベルを選ぶことが重要です。

たとえば、常に稼働し続ける必要がある金融業ではTier 4が望ましく、バックアップ用途のシステムであればTier 1や2でも十分な場合があります。このように、業務に見合った設備で十分な可用性を確保することで、運用コストを最適化できます。

ビジネスの成長に合わせてインフラを柔軟に拡張できること

Tier基準に準拠して設計されたデータセンターは、拡張性・柔軟性が優れているのが特長です。将来的にサーバ台数を増やしたい、クラウド連携を強化したいといったニーズが出てきても、スムーズに対応できます。事業の成長や新規サービスの展開にあわせて、無理なくインフラを拡張・進化させることが可能です。

Tierレベルを選定する際のポイント

データセンターのTierレベルは、信頼性や可用性を左右する重要な指標といえます。現在の要件だけでなく、将来的な事業拡大やクラウド連携、災害対策の強化なども見越してTierレベルを検討することが重要です。