ナーチャリングを実行するためのマーケティング・オートメーションの現場から

著:上島千鶴氏

リード・ナーチャリングの基本は、名刺情報以外のリード・マネジメント第02回 13年07月更新

今回のコラムは、意外と勘違いをされている方が多い 『リード管理』の話をします。そもそもリードとは何か、日本語に訳した場合の一番近い意味は、「引き合い」です。例えば案件を上司に報告する際、「この案件のリード元は、パートナA社からの紹介です。」といったように使います。また、LeadsまたはLeadの意味はInformationとAction、つまり『情報』を指す場合と、『行動』を意味する場合の2種類あります。

 「情報」として使う場合は、引き合い情報(Leads)≒顧客の属性情報や興味分野、問合せ内容などです。もう一つの使い方は「行動」として使い、プロスペクト・リード(Prospects Lead:見込み客からの引き合い) またはカスタマ・リード(Customers Lead:既存顧客からの引き合い)と言ったように、誰からの引き合いなのか区別する際に使います。(注:以下、Informationを意味する場合には、『リード情報』と記載します)

 海外では、ソーシャルメディアから「引き合い」に繋がるケースも増えているため、Social-Media Leads(Lead)と言って、個人の属性情報を獲得する手法も一般的になってきました。国内でもリード獲得(Generation)から受注(Revenue)に至るマーケティング・プロセスの中で、リードを管理するリード・マネジメントは、BtoBだけでなくtoC向けビジネスでも既に取組みが始まっています。

 ここ2・3年、様々な業種の企業様から「そろそろ本格的にナーチャリングに取り組みたい」、「どこから手を付ければ良いか」といった相談毎を頂きました。詳細なお話を伺うと、ナーチャリング活動を行う以前の段階でつまずくことがあり、個客との関係構築シナリオを描く前に検討すべき内容を紹介したいと思います。

 以下の質問に自己チェックをしてみて下さい。

▼自己チェック

 #1:リード情報を一元的に管理していない(組織毎にバラバラ)                    □Yes     □No
 #2:自分達の商売相手は誰か、ターゲット(顧客像)を整理したことが無い      □Yes     □No
 #3:マーケテイングに関する評価指標は特にない(決まった指標は無い)       □Yes     □No
 #4:広告・宣伝・販促、それぞれの組織連携は無い(会議も無い)                 □Yes     □No
 #5:毎年の大型展示会出展は恒例行事(未だ出展することが主な目的)        □Yes     □No
 #6:顧客情報を獲得するためアウトバンドコールを毎年実施している             □Yes     □No
 #7:月1定期メルマガを3年以上運用し、名寄せ整理をしていない                  □Yes     □No
 #8:コンテンツ制作は全て外注先で、更新は年1回程度                             □Yes     □No
 #9:資料請求は全て営業へ渡して終わり                                               □Yes     □No
 #10:Webからのリード(引き合い)は毎月10件未満                                   □Yes     □No

 もし2個以上Yesが付いた場合は、マーケティング活動や組織、運用に何らかしら問題や課題があると考えられます。詳細な解説はしませんが、業種や企業規模によっては ①時代遅れのマーケティング活動 ②一方的な押し売り活動を行っている可能性があると言えます。

 何のために展示会に出展するのか、メルマガを送るのか、資料請求後の運用フローはどうするのか、、など、それぞれの施策や運用についてルーチン業務と化している企業では、社内共通定義や深い議論、営業部門との調整などはされていないようです。一般的にBtoBにおけるマーケティング活動は、すぐに案件化しそうなリードを獲得することが目的となりがちで、展示会やセミナーなどは名刺情報(基本情報)を集めることに注力し過ぎです。

 前述に、リードとは「情報」と「行動」の2種類あるという解説をしました。もちろん相手の企業名、役職、組織名などは重要です。また、帝国データバンクの企業データから企業規模や業種、売上なども、営業訪問の優先順位や対応策を考える上では必要な情報となります。しかし営業が本当に欲しい情報とは、以下のような内容です。

 ・組織ミッションは何か
 ・興味分野や関心毎は何か
 ・立場はどうか
 ・現実的に課題があり、必要性を感じているか
 ・どこまで検討が進んでいるのか
 ・いつ頃契約するのか、または検討を始めるのか
 ・予算はあるのか、またはいつの予算か

これらの情報を、営業は何度も客先に足を運び、信頼関係を築きながら集めているはずです。しかし、デジタルマーケティングが進んでいる企業や海外では、これらの情報をオンラインの接触・閲覧行動データから読み取ったり、コミュニケーションシナリオの自動化によって情報を積み上げ式に集める手法を使っています。

 具体的にはcookie単位のリクエスト情報やリード内容から、対応するコミュニケーション内容と手段を時系列でシナリオ化しておき、リード状態をスコアリングにて自動判別するマーケティング・オートメーション(MA)ツールを使います。単にツールを導入しても自動的に売上は増えませんが、リードがホットなのかコールドなのか、一定レベルの状態と「タイミング」を知ることは可能になってきました。

 また、MAツールを使わずともオンラインの閲覧行動データから顧客の状態を知るコツもあります。次はその内容について紹介したいと思います。

# 次回は、意思決定プロセスに応じたコンテンツ です。