ナーチャリングを実行するためのマーケティング・オートメーションの現場から

著:上島千鶴氏

意思決定プロセスに応じたコンテンツ第03回 13年08月更新

コンテンツマーケティングという考え方が一般的になってきた現在、相手の興味やマインドを高めるためにはコンテンツが重要だという話は、よく耳にします。しかし、多くの企業での悩み毎は、どのようなコンテンツを作ったらよいのかという内容です。

もし、ビジネスブログを書きましょう、動画を掲載しましょう、PDFダウンロードを用意しましょう、ソーシャルアカウントを発行しましょう、などの提案を外部のベンダーからうけたら、「本当にその施策で案件に繋がるリードが増えるのか?」と疑って下さい。ブログや動画、PDFは単にコンテンツ種(手段)の話であり、コンテンツ量を増やしたからと言って、コールドな顧客がホットになることはありません。つまり手段を増やしても、血の通っていないコンテンツ(行動変容を起さない)を増やすだけになり、相手のマインドは変わらないのです。

kamijima_03_zu1

上記のような前提なしにコンテンツだけを増やした企業は、「PV数は増えてもリードが増えない」、という課題が多く見受けられます。

 ・自社が想定している顧客とは無関係の人に読まれ、無駄な集客をしている
 ・参考になって終わりというレベルのコンテンツを掲載しており、リードに繋がっていない
 ・意思決定プロセスを考えたことがないため、一方的な売り込み文句が並ぶコンテンツになっている
 ・単に制作会社に言われるがまま、コンテンツの種類を増やしている

目的はコンテンツを増やすことではなく、想定している対象顧客から、案件に繋がるリードを増やすことです。コンテンツを増やせば、相手の気持ちが(勝手に)醸成される、という考え方は間違いです。リード・ナーチャリングにはコンテンツマーケティングも重要ですが、コンテンツだけでなくタイミング含めたコミュニケーション設計が大切なのです。

 そこで、今回のコラムは 「意思決定プロセス」について整理したいと思います。当たり前の話ですが、BtoBビジネスの場合は、toCと異なり衝動買いをするようなことはありません。営業から見て顧客の衝動買い(契約)に近い現象は、年度末の余剰予算時期くらいです。営業がフォローしていなかった顧客から突然のオファーやコンタクトがあり、受注を予測していなかったために「棚ぼた案件」のように見えます。

しかし、顧客内では充分比較検討した上での発注に過ぎません。例えば「前期の予算申請時に想定していなかったため、年度末の予算消化状況を見て発注する」という、通常の意思決定プロセスに則った内容になります。

 BtoBにおける意思決定プロセスとは、起案から契約決定に至る決裁ルートのことを意味し、金額に応じて複数の組織をまたがります。もちろん役職に応じて決裁額の上限が異なり、業界によっても変わりますが、大手企業になるほど意思決定プロセスは複雑になります。

 IT業界の製品やサービス導入のプロセスは、分かりやすいので例にとって簡単に説明しましょう。検討の起点は、現場からボトムアップ型で進むのか、経営企画部門などからトップダウン型かで大きく変わります。また、途中の検討部門が多岐に渡ったとしても、最終的な意思決定部門は経営会議か部門決済かになります。

 ①から④に意思決定プロセスのパターンが分けられますので、それぞれについてプロセスを考えてみてください。また、対象製品やソリューション毎、または顧客規模に応じて異なりますので、以下のようなパターン表を整理してみましょう。

■IT系商材における意思決定プロセスのパターン
kamijima_03_zu2

最終的にプロセスのブロック単位に顧客から必要とされる情報要素は何かという視点で、コンテンツを用意していきます。コンテンツ種(見せ方)の検討は一番最後で問題ありません。対象が事業部門の現場レベル(初級者)であれば、BtoBであっても漫画が実は有効かもしれませんし、マーケティング部門が検討するのであれば、比較的ソーシャルに慣れているため、Facebook上での展開も良い案かもしれません。また、ネットワーク機器など安定・信頼性を重視される商材の場合は、決裁に添付できるようテストデータなどはPDFが望まれます。

 上記はほんの一例ですが、コンテンツを考える際には商材毎の意思決定プロセスにあてはめてみることが重要です。

 最後に、弊社Nexalに持ちこまれる相談企業はBtoC商材も多いです。単価の安い一般消費財は一見BtoCビジネスですが、裏はBtoBビジネスになります。商材がコンシューマであっても、ナーチャリング対象が企業の場合は、意思決定プロセスの整理は大切な視点となります。

# 次回は、マーケティング・オートメーションツールを活用する です。