ナーチャリングを実行するためのマーケティング・オートメーションの現場から

著:上島千鶴氏

リードのホット度合い(案件の見込や確度)をどのように探るのか第07回 14年04月更新

今日は、リードの様々な情報から、案件への見込み度合をどのように判断するのか、について紹介します。案件に繋がるか否か、「見込み度合」や「確度」の情報とは、Who、What、When、HowとBANTが揃わないと、判断がつきません。

つまり、相手は誰か、何が課題で何を求めているのか、いつ頃契約することを考えているのか、です。BtoBにおいては、BANT情報や、立場・競合・条件・規模を含めたSCOTMAN情報が必要とされる場合もあります。

■BANT情報(バント)
・Budget(予算) ・Authority(決裁権・権限)
・Needs(必要性)
・Timeframe(導入時期)

■SCOTSMAN情報(スコッツマン)
・Situation(立場)
・Competitors(競合)
・Opportunity(条件)
・Timeframe(導入時期)
・Size(規模)
・Money (budget)(金額、予算)
・Authority(決裁権・権限)
・Needs(必要性、要望)

上記情報項目の中には、営業が初回訪問や対面での信頼関係を構築した上で聞き出す、機密性の高い情報も含まれます。

過去に取引のない相手に対し、「あなたは、どのくらいの予算や権限を持っていて、条件は何か、いつ頃検討しようとしているのか」教えてくれ、とWebサイト内でアンケート項目を作っても、日本での商習慣ではなかなか入力しません。つまり誰がどのように対応してくれるか、何を提案してもらえるのか分からない、見えない状態で、自社の詳細情報を安易に入力するような人はいないからです。

マーケティング・オートメーションのスコアリングで一番難しいのは、案件に繋がる度合をホット、ウォーム、コールドと分けた場合、その判断するための指標定義になります。

名刺情報やメールマガジンの登録など、Whoの情報、つまり会社名、部署名、役職はすでに分かっている場合や、営業部門でその企業をターゲットとして認識している場合は、業種・規模・部門・役職ランクなどで、始めにセグメント化することは可能です。しかし、案件や受注に繋がる見込み度合いを測るには、この属性情報だけでは判断がつきません。
見込み度合や、案件の確度を測るうえで重要なポイントは、先に説明したBANT情報よりも、「タイミング」なのです。
相手から自社へ要求があった時、または要求なくても何か情報を探しにきているタイミングで、何をオファー(提供・提案)できるのか。Webサイトを「バーチャル営業マン」と見立て、コミュニケーションするプラットフォームとして位置付けると分かりやすいでしょう。

以下のような事例を紹介します。

サイトにアクセスしたIPからWho isの逆引き機能で、閲覧している企業名は分かっている。cookieのユニーク数から何名見ているかも分かっている。ある年の9月、外部メディアに掲載されたニュースリリースを経由して、自社サイトにしょっちゅう訪れる企業がいた。明らかに何か目的を持って、サイトを閲覧しているようである。事例やソリューション名をよく読み、FAQも盛んにチェックしている。
この企業は営業部門で常にウォッチングしているターゲットで、営業担当者は置き換え提案の機会を狙っている。問い合わせへとまで言わないが、メルマガ登録や資料ダウンロードでもしてくれれば個人情報を獲得できるので、こちらからの連絡も可能だ。ただ、サイトを閲覧するだけで、個人情報を入力するようなアクションを取ってくれない。アクセスが集中した9月は、来期の予算編成時期なので、どうしても連絡が取りたい。

今まで、一般的なアクセス解析ツールやトラッキングツールを入れている場合、上記のような行動パターンを見つけても、個人情報が分からないため、指を咥えて見守るしかありませんでした。テレコールにて代表電話から担当者を聞き出す荒業なども考えられますが、営業電話お断りのご時世で、実際の担当者までたどり着く確率は低いと思われます。

—この企業では、行動データからコンテンツを出し分けるMA機能搭載のCMSツールを導入しました。

「〇〇ページまで閲覧する & ターゲットとしている企業IP & XXXX」
という条件にマッチして出したのが、『弊社と初取引を検討している企業の方へ』バナーを表示し、ラブレターのようなランディングページに誘導する方法です。条件にマッチしない一般閲覧者には、その入口バナーは表示されません。

つまり「開けゴマ」の呪文のように、一定の条件に応じてコンテンツの誘導先を変えてしまうのです。競合に見られる心配もありません。
—特定の行動パターンに応じて、自然に誘導するようなページを作り個別に情報を伝える、まさしくバーチャル営業マンとしての役割が実装できたというわけです。

海外から入ってきたマーケティングオートメーションツールは、行動データや属性データをスコア化し、こちらからのオファーを変えるという機能が実装されていることが多いですが、行動データだけでホット度合を判断するには、あらかじめ案件に繋がる人の行動パターンを把握しておく必要があります。さらにはマインドレベルに応じたコンテンツを準備し、ユーザビリティや導線などに配慮しておくことも必須になります。マーケテイング手法においては上級者向きと言っても過言ではありません。ただ、使い方によっては、機会損失を最小限に抑えるツールとして、絶大な効果に繋がる可能性があります。

見た目にこだわるリニューアルではなく、バーチャル営業マンサイト、営業支援サイトとしてもっと受注に貢献できるコミュニケーションサイトを目指しましょう。

後記
短い連載ではありましたが、コラムに目を通して頂きありがとうございました。今後マーケティングオートメーションツールは、国内でもメジャーになってくると思いますが、万能なツールはありません。

ツールの機能を比較検討する前に、自社のビジネスを見つめ直し、
1.自分達がコミュニケーション取るべき相手はどのような企業なのか
2.対応する自社内の組織はどうあるべきなのか
3.マーケティング施策として何を実施するべきなのか
社内の関係部署を集めて、充分に議論することをお勧めします。

また、案件を創出するため、受注に貢献するため、という発想自体は企業視点です。どのようなマインドを持った顧客に対して、どのような情報を提供すると顧客にとって役に立つのか、さらに情報の引き換えにリード情報を交換させて頂く。顧客視点と企業視点、ストーリーとシナリオを考えた上で、目の前のお客さまに接客しているような姿勢が、今後求められます。

もし悩んだ場合は、Nexalを思い出してください。いつでも中立的な立場で、ご相談をお受けします。
それでは皆さま、またどこかでお会いしましょう。

PR) ITproマーケティング「千鶴の一言!マーケター相談室」
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Active/20140116/530162/

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