発電機とUPS、耐震と免震 第06回 12年11月 / 最終更新:2023.01.31
目次
「発電機とUPS」、「耐震と免震」について
今回は、「発電機とUPS」、「耐震と免震」について整理してみたいと思います。
24時間365日のサーバー管理は、真夜中の対応やインターネットへの接続性を考えると個別に各会社で管理をするのは、コストに見合わないことが多いです。
データセンターにサーバーを預けるメリットは、24時間365日の高度で専門的なインフラ運用サポートを低コストでうけることできることです。
高度に管理されているデータセンターでは、利用目的により様々なレベルの機器が設置されています。
強大な発電機やUPSが設備されていたり、耐震や免震構造になっている地震に強いビルに設置されていたりします。
多数のサーバーが設置されているデータセンターであればほしい設備であったりしますが、この辺りはコストとトレードオフになっているケースも見られますので、採用する前に確認が必要です。
発電機ってどんな設備?
さて、発電機は遠く大規模な発電所から送られてくる電気が供給されない場合、つまり停電した時に稼働してサーバー群に電気を供給する設備です。
不慮の停電以外にも計画停電の際に使用することもあります。
特別高圧受電設備(通常1MW以上受電では、22KVで受電します。)は、1年に1回停電させ整備することが法律で定められていますので、計画停電の際でも発電機だけでサーバー群に電気を供給することがあります。
発電中に発電機が故障しないか、インフラ運用担当は緊張する作業ですよね。
データセンターの大規模化により、大型発電機が設置されているケースも増えてきました。
大型発電機はガスタービン式が多く、その大型発電機を複数持つデータセンターもあります。
燃料は重油もしくは軽油が使われ、備蓄量がより多く備蓄できる重油で稼働する発電機が都心部では多く採用されます。
最近では大型発電機を複数備えながら40時間以上燃料を備蓄しているデータセンターも多くなってきました。
燃料補充もデータセンターが特別に燃料会社と契約し、災害時優先供給契約を締結されています。
発電機は、停電信号を受けてから起動し、発電周波数が安定するまで30秒前後かかります。
最新式の特別な発電機は10秒以内に起動し安定する機種もあります。
いずれにしても大型の”機械”ですから平常時の点検整備が重要になります。
UPSってどんな装置?
UPSは、発電機が起動し安定に電源を供給するまで、サーバー群に電源を供給する蓄電池装置です。
旧式なUPSは、交流ー直流変換と直流ー交流変換の効率が90%以下であったため、UPS通過電力ロスが30%から20%もあり無駄な電力を浪費していました。
全てを直流変換ぜずに停電稼働時だけ直流を供給するシステム、HVDC(直流380V)にてラックまで配線するシステム、SiCなど最新半導体を使い高効率なシステムなど様々な工夫でロスが少なくなってきました。
最新機種ではサーバー台数増加に合わせてUPSを停止せずに対応容量をオンライン拡張できるシステムもあります。
半導体を使わず真空装置内で巨大なフライホイールが回り慣性動力で発電し、発電機が稼働するまでサーバー群に電源を送るロスの少ないシステムもあります。
データセンターとしての耐震と免震の違いについて
日本は地震の多い国ですから、海外データセンターと比べると「耐震」「免震」対策されたデータセンタービルが多いです。
「耐震」は強大なビルで大きな地震が来ても”壊れない”強度を持つ建物です。
「耐震」の場合、データセンター内の固定されていない機器は地震により”飛ぶ”ことが予想されます。
重たいサーバーが”飛んでくる”とデータセンター内で人身事故なども想定されます。
「耐震」データセンターでは、必ずサーバーなどを”固定”する必要があります。
「免震」は免震用積層ゴムを使う免震装置上にビルが浮いて建設されています。
積層ゴムだけでは一旦揺れ始めると“揺れが止まらない”ため、ビルのサイズ、重量に合わせて様々な摩擦係数を持つ積層ゴムを複数使います。
免震装置は、地震による加速度を数分の1に低減できるため、震度4程度であればラック上に置かれた飲みものが”こぼれない”免震性能を持ちます。
冷房効率を上げるために高床高さを高くした場合、床耐荷重を大きくするためにも「免震」構造は効果があります。免震装置を備えていて、加えてビルが「耐震」であるデータセンターもあります。
いかがでしたでしょうか?今回は「発電機とUPS」、「耐震と免震」について整理してみました。
実際にデータセンターを検討する際は、見学をされると思うのですが、その際に、今回の件を思い出していただくと幸いです。
それでは今日はこの辺で失礼いたします。
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