Zabbixによる監視(10) 第11回 20年04月 / 最終更新:2020.04.01

前回は、ログファイル監視について説明しました。今回は、特殊な監視項目と、監視項目の履歴(ヒストリー)について説明します。

特殊な監視項目

外部監視

外部監視は、Zabbixサーバがシェルスクリプトやバイナリを実行して実行するチェックです。外部チェックは監視対象のホスト上で動作するエージェントを必要としません。ここで実行できるコマンドは、Zabbixサーバ設定ファイルへ記述された特定ディレクトリ以下にある必要があります。

外部監視の引数として、監視対象のIPアドレスなどを設定可能です。外部監視を使うことで、特殊な操作が必要になる項目を監視可能です。例えば、OracleのDBチェック、HTTP以外のAPIチェックなどが可能になります。

計算チェック

計算チェックは、他監視項目の値を計算した結果をデータベースに格納します。計算チェックに使用できるものは、トリガーで使用するような関数(last/min/max/avg/countなど)および監視項目、演算子(`+-*/`)、括弧です。

計算チェックを使用することで、複数の監視項目から必要な値のみを集計可能です。

集計チェック

集計チェックでは、Zabbixサーバのデータベースから直接値を取得し集計します。集計は任意のホストグループ内の任意の監視項目を対象とします。集計方法としては、最小値・最大値・総数・平均値から選択できます。

集計チェックのデータを見ることで、ホストグループ毎の値の傾向を観測できます。

ZabbixサーバSender

Zabbixサーバには、zabbix_sender というコマンドが含まれています。zabbix_senderコマンドは、監視対象ホストから特定の値をZabbixサーバServerへ送信できます。このとき監視項目名を設定でき、Zabbixサーバ側で監視項目を追加します。

zabbix_sender を使うことにより、監視対象側からコマンドの結果を任意のタイミングでZabbixサーバへ送ることが可能です。

監視項目のヒストリーとトレンド

監視項目で取得した値は、ヒストリーとしてZabbixサーバServerが使用するデータベース上に配置されます。ヒストリーの保存期間は監視項目で指定できます。ヒストリーは、その項目の型(整数、浮動小点数、文字列など)で分けて保管されます。

監視項目はヒストリーとは別に、トレンドと呼ばれる形で値を保存します。トレンドは、整数や浮動小数点を対象とします。ヒストリーに保存されるのは実値ですが、トレンドはある期間の実値の最小値・最大値・平均・総数を保存します。

ヒストリーは現在の状態を示すための監視項目として使います。ヒストリーは監視間隔の数だけ増えるため、データベースを圧迫します。ZabbixをAPM(Application Performance Monitor=アプリケーションのパフォーマンスを監視する)を目的として使うのであれば、ヒストリーを使用します。ただしデータベースサイズが巨大になるため、保管期間を短くすることをお勧めします。

トレンドは過去の状態を確認し、システムの負荷傾向を見るために使用します。要件によりますが、1年程度は保管しておいて良いでしょう。過去のデータからシステムの増減、時期ごとの負荷状況を突き合わせることができます。

終わりに

今回は、特殊な監視項目と監視項目の履歴(ヒストリー)について説明しました。次回は、監視項目のヒストリー・トレンドの可視化について説明します。次回をお楽しみに。

前回は、ログファイル監視について説明しました。今回は、特殊な監視項目と、監視項目の履歴(ヒストリー)について説明します。