データセンターの空調設備の選び方とは?管理の重要性やシステムの種類等、選定ポイントを解説 第05回 25年04月 / 最終更新:2025.04.03
目次
データセンターでは、大量のサーバやネットワーク機器が稼働し続けているため、それらに伴って熱が発生します。
発生する熱を適切に抑えないと、機器の故障リスクや運用コストの増加、システム全体のダウンタイム増加につながる可能性があります。
データセンターの安定稼働を実現するためには空調管理が欠かせません。
本コラムでは、データセンターにおける空調の重要性や空調システムの種類、選定する際のポイントを解説します。
データセンターにおける空調の重要性
データセンターの温度管理を怠ると、以下のような問題が発生しやすくなります。
・過熱によるサーバの性能低下・故障
・消費電力増加によるコスト負担の増加
・熱暴走によるダウンタイムの発生
それぞれの問題について見ていきましょう。
過熱によるサーバの性能低下・故障
データセンターで稼働するサーバやストレージは、特定の温度の範囲内で正常に動作するように設計されています。適切な温度管理を行わないと、パフォーマンスが低下し、システム全体の処理速度が遅くなります。
また、高気温の環境は、電子部品の劣化が進みやすくなるため注意が必要です。特にHDDやSSDなどのストレージ機器は熱に弱く、気温が上昇するとデータ損失やハードウェア故障につながります。機器が故障すると部品交換が必要になるため、余計なコストが発生します。
消費電力の増加によるコスト負担の増加
サーバルームの気温が上昇すると、冷却設備はより多くの電力を消費してサーバを冷却します。消費電力の増加は、電気代に大きな影響を及ぼします。データセンター全体の運用コストの中で空調システムの電気代の割合が多くを占めています。また、空調管理が不十分だと冷却負荷が増加し、結果、運用コストの増加につながります。

熱暴走によるダウンタイムの発生
データセンターの温度管理が不十分だと、熱暴走が発生するリスクがあります。熱暴走とは、発生した熱が適切に排出されず蓄積することで、データセンター内が高気温となり、システム全体の動作に支障をきたす現象のことを指します。
たとえば、サーバが熱暴走をおこした場合、サーバは自動的にシャットダウンされ、そのサーバで稼働していたWebサービスやアプリケーションが停止したり、データ処理が遅延したりします。サーバを利用している企業に多大な影響を与えるため、データセンター内の温度管理は非常に重要です。
データセンターに設置される空調システムの種類
先述のリスクを抑えるためには、規模感や用途などに合う最適な空調システムを導入する必要があります。データセンターの空調システムの種類は、大きく以下の4つです。
・In-Row空調
・コンピュータールームエアコン(CRAC)
・コンピュータールームエアハンドラー(CRAH)
・フリークーリングシステム
それぞれの特長を解説します。
In-Row空調
In-Row空調とは、局所的に冷却する空調設備のことでデータセンターではラック間に設置されます。ラックの近くに設置され発熱源に直接冷気を吹きかけるため、サーバなどを効率的に冷却します。
In-Row空調のメリットは拡張が容易な点です。小規模から大規模なデータセンターまで、規模を問わずに導入しやすい事が魅力の一つです。
In-Row空調のデメリットは、設置場所がラック間となるためユニット数が多く必要で、その分設備投資が多くなる点です。特に大規模なデータセンターでは、多くのIn-Row空調ユニットを導入する必要があり、コストが増大します。さらに、導入数が多ければ運用・保守のコストや作業も増えます。
コンピュータールームエアコン(CRAC)
コンピュータールームエアコン(CRAC)とは、データセンター専用の精密空調機のことです。一般的なエアコンに似た仕組みであり、均等に冷気を供給し、サーバルーム全体を冷却します。CRACは、データセンターの標準冷却方式として広く普及しています。
CRAC のデメリットは、特定のホットスポット(局所的な過熱)に対して効果的に冷却できないことです。また、冷却対象が部屋全体であるため、不要なエリアにも冷気を供給してしまい、電力コストが増大しやすい傾向にあります。
コンピュータールームエアハンドラー(CRAH)
コンピュータールームエアハンドラー(CRAH)とは、大規模なデータセンター向けに設計された水冷方式の空調システムのことです。冷却効率が高く、安定した温度管理ができます。また、CRAHは大規模データセンター向けに設計されているため、サーバの高密度化にも対応している点がメリットです。
CRAHのデメリットは水冷方式のため、配管や冷却水の定期的な点検やメンテナンスが必要な点です。また、水漏れや配管の腐食対策をとる必要があるため、運用面で負担が増加する可能性があります。
フリークーリングシステム
フリークーリングシステムとは、外気を利用して冷却するシステムのことです。冷却に外気を活用することで、冷却コストを大幅に削減することができます。特に寒冷地では年間を通じて効率的に冷却することができ、空調機の負荷を低減することができます。
フリークーリングシステムのデメリットは、外気温の高い地域や季節の場合、十分な冷却効果を得られないことがある点です。地域の気候条件に大きく依存するため、適用できる環境が限定されます。
データセンターの空調システムを選ぶ際のポイント
データセンターの空調システムを選ぶ際は、以下のポイントを確認しましょう。
・冷却能力
・コスト
・エネルギー効率
それぞれの内容を解説します。

冷却能力
データセンターの空調システムを選定する際は、そのデータセンターのサーバ密度や発熱量に対応できる冷却方式を選ぶことが重要です。サーバラックの密度が高い場合はIn-Row空調、大規模なデータセンターで広範囲で冷却する際はCRACやCRAHが効果的です。
コスト
空調システムを選ぶ際は、初期費用と運用コストのバランスを考慮することも重要です。
たとえば、CRACは比較的リーズナブルに導入できますが、長期的には電力コストが高くなる場合があります。また、CRAHは冷却効率の高さが魅力ですが、多額の初期費用を要します。
エネルギー効率
先述したとおり、データセンターの空調システムは、データセンター全体の電力消費の大部分を占めます。そのため、エネルギー効率の高いシステムを選択しコストを抑えることで、持続的に運用できるようになります。
近年では、AIやIoTセンサーを活用し、リアルタイムで温度・湿度を監視し、最適な空調を自動で調整できる空調システムが登場しています。AIやIoTセンサーを搭載した空調システムを利用すれば、過剰な冷却を防ぎ、電力消費の削減につながります。
まとめ
このコラムでは、データセンターの空調の重要性や空調システムの種類、選定時のポイントについて解説しました。
適切な空調管理は、サーバの安定稼働や運用コストの削減、エネルギー効率の向上に直結します。 データセンターの規模や運用状況に応じて最適な空調システムを選定することが重要です。
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