FinOpsとは?クラウドコストを最適化する方法とポイントを解説 第10回 26年08月 / 最終更新:2026.07.23
目次
利用量に応じて費用が変動しやすいクラウドサービスは、オンプレミス環境に比べてコスト管理が複雑になりやすいのが課題です。たとえば、未使用の仮想マシンやストレージを契約したまま放置していたり、必要以上に高スペックなリソースを利用し続けていたりするケースが多く見られます。
こうした状態で運用を続けると、無駄な支出が積み重なり、企業収益を圧迫する恐れがあります。そこで注目されているのが「FinOps(フィンオプス)」と呼ばれる概念です。
本コラムでは、FinOpsの概要やクラウドコストを最適化する方法や、導入時のポイントを解説します。
FinOpsとは
FinOpsとは、Finance(財務)の「Fin」と、DevOps(Development:開発とOperations:運用を組み合わせた概念)の「Ops」を組み合わせた言葉です。
FinOpsは、アメリカの団体であるFinOps Foundationが提唱するクラウドコスト管理の運用フレームワークであり、世界的に導入が進んでいます。FinOpsの目的は、開発・運用・財務・事業部門が連携しながら、データに基づいてクラウド支出を継続的に可視化・最適化し、クラウド投資の価値を最大化することです。
参考:FinOps Foundation Japan Chapter 「FinOpsとは」
https://finops-jp.github.io/ja/docs/introduction/what-is-finops
FinOpsを実践するメリット
FinOpsを実践することで、企業は以下のメリットを得られます。
●クラウドコストをリアルタイムで把握できる
●クラウドコストを最適化できる
●IT部門と財務部門の連携を強化できる
クラウドコストをリアルタイムで把握できる
FinOpsを導入すれば、クラウドコストをリアルタイムで可視化できるようになるため、経営層を含む各部門は迅速かつ的確な意思決定が可能になります。また、コストの増減をタイムリーに把握できるため、予期せぬコストの膨張を防ぎつつ、必要な投資を適切なタイミングで実行できます。
クラウドコストを最適化できる
FinOpsでは、クラウドリソースの利用状況を継続的に分析し、無駄なリソースの削減や適切なスペックへの見直しをします。不要なコストの発生を防ぎつつ、最適なリソース配分を実現できるのがメリットです。単なるコスト削減にとどまらず、必要な領域に適切に投資することで、ビジネスの競争力を維持しながら効率的な運用を実現できます。
IT部門と財務部門の連携を強化できる
FinOpsは、IT部門と財務部門の連携を促進し、これまで分断されていたコストの情報や利用データを一元的に管理・共有できる状態を実現します。これにより、両部門が共通の指標や目標に基づいた意思決定をすることができます。そのため、クラウド運用をより効率的かつ戦略的に管理できる体制の構築につながります。
クラウドコストを最適化する方法3選
クラウドコストを最適化するためには、リソースの見直しや料金プランの選定、運用の自動化などを組み合わせて取り組むことが重要です。ここでは、代表的な3つの方法を紹介します。

使っているクラウドサービスのスペックを見直す
仮想マシンやストレージ、データベースなどのリソースがオーバースペックになっていないか定期的に見直しましょう。必要以上のスペックを利用している場合、無駄なコストの発生につながります。
たとえば、CPUやメモリの使用率が低い仮想マシンは、より小さいインスタンスに変更することでコスト削減ができます。また、未使用のストレージやスナップショットの削除も有効な対策です。
利用期間に応じてコストメリットが大きい料金プランを選択する
クラウドサービスの料金体系は、従量課金に加えて、長期利用を前提とした割引プランがあるケースが多く見られます。たとえば、利用状況に応じて自動的に割引が適用されるプランや、1年・3年といった長期契約によって割引が適用されるプランが代表的です。自社の利用状況を踏まえ、最適な料金体系を選択することで、コストの最適化につながります。
自動スケーリング(オートスケーリング)を活用する
自動スケーリングとは、システムの負荷やアクセス状況に応じて、サーバやリソースの数を自動的に増減させる仕組みです。アクセスが増えた際にはリソースを自動で追加し、負荷が減った際には不要なリソースを削減できるため、常に最適な状態を維持できます。これにより、無駄なリソース使用を防ぎながら、パフォーマンスとコストのバランスを両立することが可能です。
FinOpsを導入する際のポイント
ここでは、企業でFinOpsを導入する際のポイントを3つ紹介します。
クラウドサービスの基礎知識やコスト管理に関する教育を実施する
クラウドコストを最適化するためには、従業員一人ひとりがコスト意識を持ち、効率的な運用を意識することが重要です。そのためには、クラウドサービスの仕組みや運用方法に関する基礎知識を理解する必要があります。
たとえば、以下のように実務に直結する内容を教育すると効果的です。
・クラウド環境とオンプレミス環境の違い
・リソース最適化の方法
・自動化の活用
・トラブルシューティング
・クラウドサービスの適切な利用方法
・コスト削減のポイント

具体的には、社内向けの研修やeラーニングの実施、クラウドベンダーが提供するトレーニングの活用、定期的な勉強会の開催などが有効です。また、ダッシュボードやレポートを活用して、実際のコストテーブルやデータを共有しながら学ぶことで、より実践的な理解を促進できます。
こうした教育をすることで、経営層やCIO/CTO、情報システム部門がクラウドコストの状況を正確に把握できるようになります。その上でダッシュボードやレポートなどのデータに基づき、迅速に意思決定できる環境を整えることが重要です。
部門間の連携を強化する
FinOpsを成功させるには、IT部門と財務部門が連携できる仕組みを構築することが不可欠です。たとえば、共通のKPIを設定したり、コストテーブルを可視化・共有できるツールを導入することで、双方が同じ目標にもとづいてコスト管理に取り組めます。
部門間の情報共有を促進することで、意思決定のスピードと精度が向上し、より効果的なクラウド運用を実現できます。
従業員にコスト削減の成功体験を積ませる
コスト最適化を定着させるためには、従業員に成功体験を積ませることも重要です。たとえば、コスト削減に貢献した取り組みに対してインセンティブを設けるなど、現場のモチベーションを高める仕組みを整えるのが有効です。
コスト削減で生まれた余剰資金を、新たなIT投資やサービス改善に再投資することで、FinOpsのサイクルを継続的に回すことが可能です。単なるコスト削減にとどまらず、企業全体の価値向上につながります。
「FinOpsとは?クラウドコストを最適化する方法、ポイント」のまとめ
今回は、FinOpsの概要やクラウドコストを最適化する方法、導入時に押さえておきたいポイントについて解説しました。
クラウドサービスは利便性が高い一方、使っていないリソースや過剰なスペックに気づかず、コストが膨らむケースがあります。しかし、単にコストを削減するのではなく、利用状況を可視化し、無駄を減らしながら必要な部分に絞って投資することが重要です。
FinOpsを実践することで、クラウドコストの可視化や最適化が進むだけでなく、IT部門と財務部門の連携が強化され、より戦略的なIT投資が可能になります。まずは、クラウドコストの可視化やリソースの見直しなど、取り組みやすいポイントから始めましょう。
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