サイジングとは?オンプレミスとクラウドサービスの考え方の違いを解説 第05回 22年12月 / 最終更新:2024.06.06


圧倒的なコストパフォーマンスと高い信頼性S-Port データセンターサービスとは?
システム構成を検討する上で重要な要素となっているのが「サイジング」です。サイジングを失敗するとシステムトラブルに直結するだけに、担当者にとっては頭の痛いのが実情でしょう。

本コラムではサイジングについて、そしてオンプレミスとクラウドサービスのサイジングの違いについて解説します。

サイジングとは?

サイジングとは、運用するシステムやサービスの規模に合わせてサーバやネットワークのリソースを見積もることです。具体的にはシステム要件などからサーバの台数やディスク容量などを検討し、必要なリソースを見積ります。

既存システムのリプレースであれば、これまでの運用実績などから高い精度でサイジングを行うことができます。しかし新規システム構築の場合は既存システムのリプレースと異なり、運用実績などのデータがないところからサイジングを行わないといけないため、構築するシステムの要件をもとにトラフィック量やデータ容量などの予測を立て、見積もる必要があります。

サイジングの失敗はシステムトラブルの要因になります。例えば、サイジングで見積もりしたスペックを超える負荷がシステムにかかった場合、パフォーマンスの劣化やシステムダウンが発生する可能性があります。特にECサイトなどのサービスを提供しているシステムの場合は機会損失につながります。

このため、システムの安定稼働のためにもサイジングは非常に重要です。

構成ごとのサイジングの違い

とはいえ、一言でサイジングといってもオンプレミスとクラウドサービスとではサイジングの考え方が異なります。ここでは、オンプレミスとクラウドサービスのそれぞれにおけるサイジングの考え方について解説します。

オンプレミス構成のサイジング

オンプレミスの場合、リソース不足が発生したとしても、簡単にリソースの追加ができません。その理由は「ハードウェアの調達に時間がかかる」「ハードウェアのキッティングが必要」「システム停止を行わないといけない」などの理由からです。このため、オンプレミスのサイジングは現在のシステム要件のみを考慮するだけではなく、アクセス数の増加など、将来的な利用状況を加味した上でサイジングを行う必要があります。

このため、オンプレミスでのサイジングは余裕をもった構成で行われるのが一般的です。言い方を変えると、あらかじめ、通常必要とされる以上のリソースを用意することになります。このため、調達費用や維持コストは増加しがちです。また、不測の事態に対応するためのバックアップサーバやストレージなどの準備、ネットワークの冗長化など、考慮しなければならない要素はたくさんあります。

ピーク時の負荷やアクセス数の増加などに耐えられるリソースをあらかじめ確保しつつも、過剰な投資とならないように配慮しながらのサイジングは非常に難しいのが実情です。

クラウドサービス構成のサイジング

クラウドサービスの場合はオンデマンドとは異なり、状況に応じてリソースの追加や変更(スケールアップ・スケールアウト)が簡単にできます。万が一想定した以上に負荷がかかったとしても、クラウドサービスのオートスケール機能(自動的にスケーリングを行う機能)を利用すれば、自動的にリソースの調整が可能です。このため、リソースの調整が簡単に行うことができるクラウドサービスを利用すれば、リソースの利用状況に応じてサイジングの最適化を図ることができます。オンプレミスのように綿密にサイジングを行う必要はありません。

とはいえ、クラウドサービスの利用する際に、性能設計が不要になるわけではありません。例えばデータベースやネットワークのようにチューニングが難しいリソースもあるため考慮が必要です。また、クラウドサービスの場合は他のテナントのシステム負荷の状況を予測することが不可能です。このため、ボトルネックが存在しないか、存在する場合はどこまで負荷に耐えられるかなど、定量的な評価のもと、サイジングを行うことが必要です。

サイジング結果の検討と打ち手について

このようにオンプレミスとクラウドサービスのサイジングの考え方は異なります。では、具体的にサイジングの検討と打ち手についてはどのように考えていけばよいのでしょうか?ここでは「クラウドサービスの検討」と「ミニマムスタートの検討」について紹介します。

クラウドサービスの検討

一つ目は「クラウドサービスの検討」です。

先にも述べたように、クラウドサービスの場合はオンプレミスと異なり、新規システム構築の場合でも運用状況に応じて簡単にスケールアップ・スケールアウトできることがメリットです。

また、オンプレミスの場合はサイジングに失敗するとリカバリー困難な状況となり、損失が大きいものとなりがちですが、クラウドサービスの場合は試行錯誤しながらリソースの最適値を図ることで過剰投資を避けることができます。この点もクラウドサービスを利用するメリットです。

このため、クラウドサービスでシステム構築を行う場合はサイジングの調整を行っている間はリソース変更の自由度が高い契約でサービスを利用し、最適値を導くことができてから長期的な契約をすることでコストを抑えることが可能です。

例えばECサイトでセール期間中に利用者やアクセス数の増加が見込まれる場合には一時的にリソースを増やし、セール期間中が過ぎて利用者数やアクセス数が通常の状態に戻った場合にはダウンサイジングを行うといった運用も可能です。このように、時期や利用者数などの増減が大きいシステムの場合はサイジングを簡単に行うことができるクラウドサービスを利用することをお勧めします。

また、予約開始時に一時的にサーバアクセスが集中するWebシステムなリアルタイムでリソースのコントロールが必要な予約システムなどにも適しています。

鈴与シンワートが提供する「S-Portベアメタルサーバ」はアクセス集中し、リアルタイムでリソースのコントロールが必要な予約システムにも対応可能です。

ミニマムスタートの検討

サイジングを柔軟に対応できるのがクラウドサービスを利用するメリットです。特に予測困難なアクセス数の変動が見込まれるシステムや先の利用状況が見えにくいシステムや状況に合わせたIT投資が必要なプロジェクトの場合はクラウドサービスの利用が向いています。

とはいえ、過剰な投資とならないように考慮することが必要です。クラウドサービスの場合、初期は稼働に必要な最低限のリソースでスタートする「ミニマムスタート」が可能です。まずは無償トライアルなどを上手く活用しながらミニマムスタートに必要なシステムの安定稼働に必要な最低限のリソースを検討して決定します。

そして、利用状況の変化に応じてスタート時のリソースでは不足することが予想される場合、また、一時的にリソースの追加が必要な場合は状況に応じてリソースを追加し、ピークアウトしたらリソースを元に戻し、サイジング的にもコスト的にも効率よく利用していくことが可能です。

アクセスが集中する予約システム向け導入事例紹介

自治体向けのコロナワクチン接種予約システムのサーバとネットワークのシステム導入事例です。

鈴与シンワート『S-Portベアメタルサーバ』採用のポイント

・潤沢なサーバリソース
・アクセスサーバやそのリソースの振り分けが可能な構成
・追加のリソース等を迅速に手配できること
・他サービスも併せた提案力
・導入後のサポート体制

『S-Portベアメタルサーバ』の導入効果

非常に強靭な環境で35以上の自治体、240万人以上をカバーする予約サイトの構築を実現しました。
急激なアクセス集中が予想される場合は、予約開始前にサーバリソースを分離することで、他の自治体への影響を完全に遮断することができました。

『S-Portベアメタルサーバ』導入事例紹介

まとめ

本コラムではサイジングやサイジングの検討ポイントについて解説しました。

サイジングとは、運用するシステムやサービスの規模に合わせてサーバやネットワークのリソースを見積もることです。特にオンプレミスの場合は簡単にリソースの追加や変更ができないため、サイジングに失敗するとシステムダウンにつながるなど致命傷になりかねません。このため、サイジングはオンプレミスでのシステム構築において重要な要素となっています。

一方でクラウドサービスの場合はオンプレミスに比べて運用状況に応じてリソースの増減を簡単にできます。このため、特に予測困難なアクセス数の変動が見込まれるシステムや先の利用状況が見えにくいシステム構築の場合はクラウドサービスの利用を検討することをお勧めします。

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