ネットワークトラブルを解決するコツとは?事例を交えて解説 第01回 23年05月 / 最終更新:2024.06.06
目次
企業活動をしていくうえで、ネットワークは欠かせないものです。
業務を支えるシステムや電子メール、ファイルのやりとり、インターネットの利用など、多くの業務がネットワークを介して行われています。
ひとたびネットワークトラブルが発生すると、最悪の場合は業務がストップしてしまうため、一刻も早くトラブルを解決する必要があります。
しかしネットワークは目に見えないため、原因がなかなか特定できずに困ってしまうこともあるでしょう。
本コラムではネットワークトラブルを解決するコツを、事例を交えて解説します。
ネットワークトラブル対応の流れ
まずは基礎知識として、ネットワークトラブル対応の基本的な流れを解説します。
ネットワークトラブル発生時には、まず状況を確認し、原因を特定することが重要です。その後、ネットワークトラブルを解決するために必要な対策を講じることになります。
具体的な流れは以下の通りです。
- ネットワークトラブルの状況確認
- ネットワークトラブルの原因特定
- ネットワークトラブル解決策の検討
- ネットワークトラブルの解決
- ネットワークトラブルの再発防止対策立案
1. ネットワークトラブルの状況確認
ネットワークトラブルが発生した日時や場所、使用していたネットワーク機器などを確認します。
何時から何時まで発生していたか、何が使用できなくて何が使用できたかなど、可能な限り詳細に状況を確認しておくことがポイントです。
2. ネットワークトラブルの原因特定
ネットワークトラブルの発生状況をもとに切り分けを行い、原因を特定します。
ネットワークトラブルの原因はネットワーク機器の故障や設定の誤り、外部の障害など様々なので、焦らず1つずつ確認していくことが大切です。
3. ネットワークトラブル解決策の検討
ネットワークトラブルの原因が分かったら、解決するための対策を検討します。
まず考えるべきは業務への影響です。
ネットワークトラブルによって業務が進められない場合は、業務の復旧を最優先に対策を検討しましょう。
場合によっては代替機器や代替ネットワークを準備するなど、原因の特定を待たずに対策を優先するケースもあります。
4. ネットワークトラブルの解決
策定した解決策を実行し、ネットワークトラブルを解決します。
故障したネットワーク機器の交換、設定の修正などの対応を行い、ネットワークトラブルが解消されたことを確認してください。
5. 再発防止対策の立案
ネットワークトラブルは解決したからOKではありません。
ネットワークトラブルが発生した原因を分析し、再発防止対策を立案することが大切です。
ネットワークトラブルを早く解決するコツ
ネットワークトラブルを早期解決するために、大切なポイントを4つ紹介します。
- ネットワーク構成を理解する
- 原因のパターンを知っておく
- 優先事項を明確にする
- 原因の切り分けを行う
ネットワーク構成を理解する
ネットワークトラブルの原因を特定する際に、まず必要になるのはネットワーク構成を理解することです。
ネットワークトラブルの原因は、ネットワークのどの部分まで通信ができて、どこからが通信できないかを切り分けすることで特定します。
その際にネットワーク構成を正しく理解できていないと、誤った判断をしてしまい、原因にたどり着けなくなる可能性もあります。
ネットワーク構成はドキュメントとして分かりやすく整理し、いつでも参照できる場所に保存しておきましょう。
原因のパターンを知っておく
ネットワークトラブルの原因は多岐にわたるため、すべてを網羅することは不可能ですが、ある程度のパターンを知っておくことで原因の絞り込みをスムーズ行えるようになります。
ネットワークトラブルでよくある原因のパターンを4つ紹介するので、参考にしてください。
ただし「原因ありき」で調査してしまうと、見当違いの対応をしてしまって時間を大幅にロスすることになってしまう危険性もあります。
原因のパターンはあくまで「ヒント」として活用しましょう。
機器やケーブルの物理的な故障
ネットワークトラブルの原因で一番シンプルなパターンです。
ルーターやスイッチ、ハブの故障、LANケーブルの断線などが該当します。
このパターンの原因は、通信ができない範囲を明確にすることで絞り込みが可能です。
人的ミス
人的ミスには、ネットワーク機器のコンフィグ設定ミスやLANケーブルの刺し違いなどがあります。
人的ミスの場合は直前にメンテナンスや設定変更を行っている可能性が高いので、メンテナンスなどの際は作業履歴を必ず残して情報共有しておくことが大切です。
ネットワークトラブルの原因がまったく分からない場合に、「実は担当者が設定を変更していた」ことが後から分かるケースがあったりするので、情報はしっかり共有するようにしましょう。
人的ミスでもう1つあるのが、本人の意思とは関係なく発生するパターンです。
具体的にはLANケーブルの差し方が甘かったり、電源ケーブルが抜けていたりといった単純ミスが該当します。
さんざん調査をした結果、「原因は電源が抜けていただけだった」というケースも意外と多いので、灯台下暗しにならないように確認をしましょう。
トラフィックの輻輳(ふくそう)
社員の1人または数人が帯域を大量に消費することで、社内ネットワーク全体に影響するパターンがあります。
例えば数十GBの重たいファイルをネットワーク経由でコピーしたり、高画質の動画を視聴したりといったケースが該当します。
帯域が輻輳していないかを確認するために、通常時のネットワーク利用状況を把握しておくと良いでしょう。
また通信の内訳を把握する仕組みを準備しておくと、逼迫している状況をより細かく捉えることができます。
外部のネットワーク障害
外部のネットワーク障害が原因で、インターネットや拠点間の通信ができない可能性もあります。
事務所内のネットワークは通信できるのに、拠点間や外部との通信ができない場合は、外部ネットワークの障害を疑いましょう。
大規模な障害であれば、キャリアのホームページやSNSで障害情報を確認できます。
しかし会社の敷地内に引き込むケーブルが断線しているケースなどもあるので、原因が分からない場合はキャリアやネットワーク機器のベンダーに調査を依頼してください。
優先事項を明確にする
特にベンダー側が見逃しがちなのが、対応の「優先事項」です。
ネットワークトラブル対応の理想は、原因が判明したうえでトラブルが解消し、今後の対策もできている状態でしょう。
しかし最も大切なことは「業務への影響」を踏まえた対応をすることです。
ネットワークトラブルによって業務が停止しているのであれば、原因の特定よりも業務の復旧を優先すべきでしょう。
反対に多少業務に影響が出ても、原因を特定して再発防止した方が、トータルではプラスになるケースもあります。
ネットワークトラブルの対応を始める前に、ユーザーにとっての何が優先事項なのかを明確にすることが非常に大切です。
原因の切り分けを行う
ネットワークトラブルの原因を特定するうえで最も大切になるのが「切り分け」という考え方です。
ネットワークのどこまでが通信できていて、どこから通信ができないのかを明確にすることで、原因箇所を徐々に絞り込んでいきます。
時には経験豊富な技術者が、一発で原因を特定するケースもあるでしょう。
しかし経験やカンに頼ったやり方は、想定外の事象に対して非常に脆く、いつまでたっても原因にたどり着けなくなるリスクがあります。
そのため、多少回り道をしてでもしっかりと切り分けを行い、原因が潜む範囲を絞り込むことが、ネットワークトラブル対応の鉄則です。
ネットワークトラブルの対応事例
システムを導入しているお客様から「ネットワークが遅い」と問い合わせを受けることがあります。
しかし、この「ネットワークが遅い」という言葉は、100回の問い合わせが来れば100通りの意味があるほどに曖昧です。
そのため「何がどう遅いのか」をいかに具体的に聞き出して整理できるかが、ネットワークトラブル対応の生命線になります。
まずは特定の営業所のみが遅いのか、営業所内でもフロアごとや端末ごとに違いがあるかなど、影響範囲を絞り込みます。
複数のネットワークがある場合は、基幹システムや、電子メール、インターネット、ファイルサーバなど、何が遅くて何が遅くないのかの確認も必要です。
また何時から何時まで遅かったのか、その間ずっと遅かったのか断続的に遅かったのかなど、あらゆる情報をヒアリングして情報を整理するようにしています。
そもそも「遅い」という表現が主観の入った曖昧なものなので、具体的にどう遅いのかを「A画面の表示に5秒かかる」のように、客観的な事実として確認するのもポイントです。
問い合わせしたお客様も、他の担当から又聞きした情報を伝えているだけのケースも多く、情報の曖昧さに拍車がかかります。
よくよく確認すると、「実は数日前から遅い状態だった」や「担当者の勘違いだった」といったケースもあるので、主観ではなく客観的な事実をベースに確認することが重要です。
このように文章にすると簡単にできそうな気もしますが、実際には多くの情報を収集する必要があるので意外と大変です。
ネットワークトラブル発生時の緊迫した状況で、いかに落ち着いて正確な情報を収集することができるかが、ネットワークトラブル対応の勝敗を決めると言っても過言ではありません。
「ネットワークトラブルの解決方法」まとめ
ネットワークトラブル対応の基本的な流れと、解決するコツについて解説しました。
ネットワークトラブルで大切なのは、正確な情報を集めることと丁寧に切り分けすることです。
知識や経験があるばかりに、難しく考えすぎて「LANケーブルが抜けていることに気づけない」という落とし穴にハマった技術者を実際に見てきました。
また技術者がネットワークトラブルの原因特定に苦戦する要因として、ネットワーク構成の複雑さという問題もあります。
現代では拠点間の通信やデータセンター、リモートアクセス、インターネットなど、様々なネットワークを併用するケースが多く、ネットワークトラブル発生時に技術者を悩ませる要因となるのです。
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