リプレースとは?マイグレーションとは?わかりやすく解説 第05回 24年08月 / 最終更新:2024.12.04
目次
システムを運用する場合、サーバやネットワーク機器、ソフトウェアなどの老朽化によるリプレース作業は避けて通れません。
リプレースとは、サーバやネットワーク機器、ソフトウェアなどを入れ替えることを指しますが、近年ではリプレースを機にオンプレミスからクラウドサービスへ移行するケースが増えています。
このケースのように、稼働しているシステムを現行の環境から新しい環境へ移行することをマイグレーションといいます。
本コラムでは、リプレースの意味や実施するタイミング、マイグレーションの種類やメリット、注意点などをわかりやすく解説します。
リプレースとは
IT分野でリプレースとは、古いソフトウェアやコンピュータ機器を新しいものに置き替えることを意味します。
例えば、古いパソコンやサーバ、ネットワーク機器などのハードウェアを新しいものへ入れ替えることや、業務ソフトウェアを最新版に刷新することなどを指します。
リプレースは、ハードウェアの老朽化や保守期間切れ、ソフトウェアの保守・サポート期間切れなどに対応するため、定期的に実施する必要があります。
また、稼働状況の変化でサーバやネットワーク機器が容量不足やスペック不足が発生した場合もリプレースの対象となります。
リプレースのタイミングについて
リプレースのタイミングについては明確な決まりはありませんが、ハードウェア、ソフトウェアとも5年程度を目安にリプレースするのが一般的です。
理由はさまざまですが、具体的には以下のような例が挙げられます。
・使用中のサーバやネットワーク機器の耐用年数が5年程度に設定されている場合
・メーカーのハードウェアサポート期間が5年である場合
・修理部品の保有期間の期限が到来し、故障した際に修理不可となる場合
・OSやファームウェアの最新バージョンへ対応ができなくなる場合
・利用中のハードウェアの仕様不足でソフトウェアの性能や機能が十分に発揮できない場合
コンピュータ機器は耐用年数を超えて利用すると、内部部品の経年劣化により故障のリスクが高まります。
経年劣化したサーバやネットワーク機器はハードウェア故障でシステムダウンを引き起こす確率が高くなります。システムダウンは企業にとって大きな損失を招くため、安定した運用を継続するためにも定期的なリプレースが必要です。
マイグレーションとは
マイグレーションは英語で移動や移住を意味し、IT分野では稼働中のシステムやデータを別の環境に移すことを指します。
マイグレーションの種類や呼び方はさまざまあるので、以下に簡単に解説します。

マイグレーションの種類
システムマイグレーション | 既存のシステムを新しい環境に移行すること。ハードウェアの更新やソフトウェアのアップグレードを伴うことが多く、レガシーマイグレーションと同意で使用されることもある。 |
レガシーマイグレーション | 古いシステムやアプリケーションを新しい環境に移行すること。これにより、最新の技術やセキュリティ対策を導入できるようになる。 |
データマイグレーション | データを別のシステムへ移行すること。主にサーバやストレージの交換などの移行のことを指すが、最近ではクラウドサービスへの移行も多くなっている。 |
プラットフォームマイグレーション | アプリケーションやサービスを異なるプラットフォームに移行すること。レガシーデータベースからオープン環境へ移行することを指す場合もある。 |
データベースマイグレーション | データベースの構造やデータを新しいデータベースのシステムに移行すること。例えば、Oracleから別製品への移行や、利用中のデータベースのバージョンアップに伴う移行などがある。 |
アプリケーションマイグレーション | 既存のアプリケーションを新しい環境やプラットフォームに移行すること。移行先のシステムに合わせてデータの変換や互換性を持たせるために加工が必要になることがある。 |
サーバーマイグレーション | サーバのハードウェアやソフトウェアを新しい環境に移行すること。代表的なケースとしてオンプレミスからクラウドサービスへの移行がある。 |
ビジネスプロセスマイグレーション | 企業の業務プロセスや業務フローを変更する際にシステムやデータなどを移行すること。企業買収や合併、再編などをきっかけに行われることが多い。 |
クイックマイグレーション | OSやアプリケーションを停止した上で、システムやデータを移行すること。コールドマイグレーションとも呼ばれ、サービス停止が可能なシステムに適用する移行方法。 |
ライブマイグレーション | OSやアプリケーションを停止させずに移行すること。ホットマイグレーションや無停止マイグレーションとも呼ばれ、主に仮想サーバの移行で使用される方法。 |
マイグレーションを行うメリット
マイグレーションはシステムのパフォーマンス向上やコスト削減、セキュリティ強化などを目的に行います。
また、既存システムをそのまま別環境へ移行させる場合は、システム再構築のコストを削減することができ、培ったノウハウをそのまま利用できるといったメリットがあります。
近年、特にオンプレミスからクラウドサービスへのマイグレーションが増加しており、これには以下のようなメリットがあります。
スケーラビリティ
クラウドサービスは、稼働状況に応じてリソースをスケールアップまたはスケールダウンすることができるため、トラフィックやリソース負荷状況の変動に迅速に対応することができます。
可用性と耐障害性
クラウドサービスを提供している事業者は、一般的に堅牢なデータセンターを利用しており、耐震・耐災害設備が整っているため、高い可用性が保証されています。
遠隔バックアップなどのサービスを利用することで障害対策をすることができます。
アクセスの利便性
クラウドサービスは多くの場合インターネットに接続できればどこからでもアクセスできるため、リモートワークや出張先からシステムを利用できます。
コスト削減
クラウドサービスの多くは利用量や利用時間に応じた課金体系になっているため、無駄な費用を抑えることができます。
ハードウェア購入の初期コストや、機器の運用コストを削減することができます。
マイグレーションする際の注意点
マイグレーションする際はシステムのダウンタイムが発生することがあるため、慎重に計画を立てなければなりません。

今ある課題とマイグレーションの目的を明確にする
まずは、現行システムが抱える課題を整理することで、マイグレーションの目的や対象、適切な移行方法などが明確になります。
それをもとに方針や計画を決定します。
マイグレーション先を幅広く検討する
マイグレーション先については、現行システムが抱えるリスクや問題を鑑みて選定しましょう。
オンプレミスでのマイグレーションの場合、運用コストや可用性の面などで現行よりもコストや稼働が増加する可能性があります。
そのような場合は、外部のデータセンターやクラウドサービスを検討してみるのもよいでしょう。
入念な事前準備とテスト結果を慎重に検証する
移行先の環境でシステムが正常に動作するか、なるべく本番環境に近い状態を用意して事前にテストすることが重要です。テスト段階で明らかになった問題点を対策することで、本番移行をより安全に行うことができます。
また、システムを移行する際には、データの整合性や完全性を確保するためにデータ形式を変換することが必要になる場合あります。データ形式を変換する際は、変更前と変更後の整合性を慎重に確認しましょう。
リプレース、マイグレーションのまとめ
本コラムで解説したとおり、システムを新しい環境へ移行することで、現行の環境が抱えるさまざまな課題や問題を解決できる可能性があります。
しかし、リプレースやマイグレーションを成功させるためには、目的の明確化、データの整合性確保、システムの互換性を確認するなど入念な準備と計画が不可欠です。
オンプレミスからクラウドサービスへ移行する際、利用するクラウドサービスにより各種制限があるため、目的やニーズにあわせて選定する必要があります。
移行前よりもコストや運用負荷が増加することがないように注意しましょう。
現在は、システムの移行先としてAWS(Amazon Web Servis)やMicrosoft Azureといったパブリッククラウドを選択するケースが増えています。
クラウドサービスの構築や運用は専門的な知識が必要になるため、環境構築や運用に不安がある場合は鈴与シンワートのS-Port Cloud V Seriesのような、マネージド型のクラウドサービスを検討しましょう。
https://s-port.shinwart.com/service/cloud/type_v/
現行の環境に課題がある場合や、機器のリプレース時期が近づいている場合には、新たな環境へのマイグレーションを考えてみてはいかがでしょうか。

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