マイグレーションとは?リプレース(リプレイス)とは?わかりやすく解説 第05回 24年08月 / 最終更新:2024.08.30
目次
システムを運用していくうえで、サーバやネットワーク機器、ソフトウェアなどの老朽化によるリプレース作業は避けて通れません。
リプレースとはサーバやネットワーク機器、ソフトウェアなどを入れ替えることを指しますが、近年ではリプレースを機にオンプレミスからクラウドサービスへ移行するケースが増えています。
このケースのように、稼働しているシステムを現行の環境から新しい環境へ移行することをマイグレーションといいます。
本コラムでは、リプレースの意味や実施するタイミング、マイグレーションの種類やメリット、注意点などをわかりやすく解説していきます。
リプレースとは
IT分野におけるリプレースとは、古いソフトウェアやコンピュータ機器を新しいものに置き替えることを意味します。
例えば、古いパソコンやサーバ、ネットワーク機器などのハードウェアを新しいものへ入れ替えることや、業務ソフトウェアを最新バージョンに刷新することなどを指します。
リプレースは、ハードウェアの老朽化や保守期間切れ、ソフトウェアの保守・サポート期間切れなどに対応するため、定期的に実施する必要があります。
また、稼働状況の変化でサーバやネットワーク機器が容量不足やスペック不足が発生した場合もリプレースの対象となります。
リプレースのタイミングについて
リプレースのタイミングについては明確な決まりはありませんが、ハードウェア、ソフトウェアとも5年程度を目安にリプレースするケースが一般的です。
理由はさまざまですが、具体的には以下のような例が挙げられます。
・使用中のパソコンやサーバの耐用年数が5年程度に設定されている場合
・メーカーのハードウェアサポート期間が5年である場合
・修理部品の保有期間の期限が到来し、故障した際に修理不可となる場合
・OSやソフトウェアの最新バージョンへの対応ができなくなる場合
・利用中のハードウェアの仕様不足でソフトウェアの性能や機能が十分に発揮できない場合
コンピュータ機器は耐用年数を超えて利用すると、内部部品の経年劣化により故障のリスクが高まります。
経年劣化したサーバやネットワーク機器はハードウェア故障でシステムダウンを引き起こす確率が高くなります。システムダウンは企業にとって大きな損失を招くため、安定した運用を継続するためにも定期的なリプレースが必要です。
マイグレーションとは
マイグレーションは日本語で移動や移住を意味し、IT分野では現行の環境で稼働しているシステムやデータを別の環境に移すことを指します。
マイグレーションの対象はさまざまありますが、以下に具体的な例を挙げます。
システムマイグレーション
稼働しているシステムを新しい環境に移行することです。
オンプレミスで稼働しているシステムをデータセンターやクラウドサービスへ移行させる事などを指します。
クラウドサービスへの移行はクラウドマイグレーションと呼ばれることもあります。
また、古くなったシステムを新しいシステムへ移行することをレガシーマイグレーションといいます。
データマイグレーション
データが現行保管されているストレージやデータベースを別の環境へ移行させることです。
移行先の環境によっては、データ形式などを適切に変換する必要があります。
プラットフォームマイグレーション
現行のプラットフォームから別のプラットフォームへ移行することです。
例えばWindowsからLinux、現行のクラウドサービスから別のクラウドサービスへの移行させることなどが該当します。
その他にもサーバのみを移行するサーバマイグレーションや、仮想サーバを無停止のまま別の仮想サーバへ移行させるライブマイグレーションなどがあります。
マイグレーションを行う理由
マイグレーションはシステムのパフォーマンス向上やコスト削減、セキュリティ強化などを目的に行います。
また、マイグレーションは既存システムをそのまま別環境へ移行させる場合はシステムを再構築するコストを削減することが可能で、培ったノウハウをそのまま利用できるといったメリットがあります。
近年、特にオンプレミスからクラウドサービスへのマイグレーションが増加しており、これには以下のようなメリットがあります。
スケーラビリティ
クラウドサービスは、稼働状況に応じてリソースをスケールアップまたはスケールダウンすることができるため、トラフィックやリソース負荷状況の変動に迅速に対応することができます。
可用性と耐障害性
クラウドサービスを提供している事業者は、一般的に堅牢なデータセンターを利用しており、耐震・耐災害設備が整っているため、高い可用性が保証されています。
また、遠隔バックアップなどのサービスを利用することで障害への対策をすることができます。
アクセスの利便性
クラウドサービスはインターネットさえあればどこからでもアクセスできるため、リモートワークや出張先からシステムを利用できます。
コスト削減
クラウドサービスの多くは利用量や利用時間に応じた課金体系になっているため、無駄な費用を抑えることができます。
また、ハードウェア購入の初期コストや、機器の運用コストも削減可能です。
マイグレーションする際の注意点
マイグレーションする際はシステムのダウンタイムが発生することがあるため、慎重に計画を立てなければなりません。
まずは、マイグレーションする目的を明確にすることが重要です。
目的を明確にしたうえで、対象のシステムや範囲を特定し、方針や計画を決定します。
システムを移行する際には、データの整合性や完全性を確保するため、必要に応じてデータ形式の変換を行います。
また、移行先の環境でシステムが正常に動作するか、事前にテストする必要があります。
マイグレーション先については、現行の環境で抱えるリスクや問題を鑑みて選定しましょう。
現行がオンプレミスの場合、運用コストや可用性を考慮して外部のデータセンターやクラウドサービスを検討してみるのもよいでしょう。
マイグレーションのまとめ
本コラムで解説したとおり、システムを新しい環境へ移行することで、現行の環境が抱えるさまざまな課題や問題を解決できる可能性があります。
しかし、マイグレーションを成功させるためには、目的の明確化、データの整合性確保、システムの互換性を確認するなど入念な準備と計画が不可欠です。
オンプレミスからクラウドサービスへ移行する場合は、クラウドサービスによっては制限があるため、目的やニーズにあわせて選定する必要があります。
移行前よりもコストや運用負荷が増えてしまうことがないように注意しましょう。
現在は、システムの移行先としてAWS(Amazon Web Servis)やMicrosoft Azureといったパブリッククラウドを選択するケースが増えています。
クラウドサービスの構築や運用は専門的な知識が必要になるため、環境構築や運用に不安がある場合は鈴与シンワートのS-Port Cloud V Seriesのような、マネージド型のクラウドサービスを検討しましょう。
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現行の環境に課題がある場合や、機器のリプレース時期が近づいている場合には、新たな環境へのマイグレーションを考えてみてはいかがでしょうか。
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