仮想サーバとは 〜仕組みと機能を解説〜 第04回 24年06月 / 最終更新:2024.06.21
目次
仮想サーバは、柔軟性と効率性の高さから広く利用されている技術です。
仮想サーバを上手く活用することで、サーバを集約してコスト削減をしたり、障害発生時やメンテナンス時のダウンタイムを最低限に抑えて事業継続性を確保したりとさまざまなメリットがあります。
本コラムでは、仮想サーバの仕組みや注意するべき点について詳しく解説していきます。
また、仮想サーバの便利な機能や、クラウドサービスについても紹介します。
仮想サーバとは
仮想サーバとは、物理サーバ上で仮想的に作成されたサーバのことです。
具体的には、物理サーバに専用の仮想化ソフトウェアを導入し、その上に仮想OSをインストールすることで仮想サーバを作成することができます。
サーバは、メールサーバ、DNSサーバ、ファイルサーバなど役割ごとに作成することが一般的です。
以前は、サーバの役割ごとに物理サーバを構築することが主流であったため、サーバの種類が増える度に物理サーバを管理する手間も増えていました。
しかし、仮想化技術を用いることで、1台の物理サーバ上に複数のサーバを作成することができるようになり、サーバの集約が可能になりました。
サーバを集約することで、物理サーバの台数を削減することができ、設置スペースの削減や、電気代の削減、物理サーバのメンテナンスにかかる業務負荷の軽減などの効果が見込めます。
ホスト型とハイパーバイザー型
仮想サーバを作成するための方式は大きく分けて、「ホスト型」と「ハイパーバイザー型」の2つがあります。
ホスト型とハイパーバイザー型の特徴について説明します。
ホスト型
ホスト型は物理サーバのOS上に仮想化ソフトウェアをインストールし、その仮想化ソフトウェアの上で仮想OSを動かす方式です。
物理サーバに直接インスールされたOSをホストOS、仮想化ソフトウェア上で動くOSをゲストOSといいます。
ホスト型は既に稼働しているサーバにも、通常のアプリケーションをインストールする感覚で仮想化ソフトウェアをインストールすることができるため、手軽に仮想サーバを作成することができます。
ただし、ゲストOSへアクセスするためにはホストOSを経由するため、ハイパーバイザー型に比べて処理速度が落ちるといったデメリットがあります。
また、ホストOSを作動させるための物理リソースを確保する必要があります。
ハイパーバイザー型
ハイパーバイザー型は物理サーバに直接、仮想化ソフトウェアをインストールする方式です。
ホストOSを必要とせず物理リソースを有効活用することができ、ゲストOSへも直接アクセスすることができるため、ホスト型に比べて処理速度が高速になるといったメリットがあります。デメリットは、複数の仮想サーバを動かすため、ハイスペックで高額な物理サーバを準備する必要があることです。
また、ハイパーバイザー型の仮想化ソフトウェアを構築・運用するためには専門的な知識が必要です。
仮想サーバの便利な機能
仮想サーバには多くの便利な機能が備わっており、これらの機能がシステム管理や運用において大きな効果を発揮します。
仮想サーバの便利な機能と、そのメリットについて紹介します。
ライブマイグレーション
ライブマイグレーションは仮想サーバを停止させず、仮想サーバごと別の物理サーバに移動させることができる機能です。
物理サーバのメンテナンスやアップデートが必要な場合でも、仮想マシンを他の物理サーバに移動させることでダウンタイムを最小限に抑えることができます。
スナップショット機能
スナップショット機能は、仮想サーバをある特定の状態で保存しておき、必要に応じて保存した時点の状態に戻せる機能です。
スナップショット機能を活用することで、システムに障害や問題が発生した場合、正常に稼働していた状態に復元させることができます。
また、システムアップデートを適用する前や、設定変更をする前にスナップショットを取っておくことで、安全に作業を行えます。
スナップショット機能はチェックポイント機能と呼ばれることもあります。
クローン作成機能
クローン作成機能は既存の仮想サーバを複製し、新しい仮想サーバを素早く作成することができる機能です。
同じ設定で仮想サーバを複製するため、複数台の仮想サーバを短時間で作成することができます。
また、テスト環境や開発環境を構築する際にも便利な機能です。
高可用性(HA)機能
高可用性機能は、複数の物理サーバで仮想サーバを冗長化し、物理サーバの障害発生時に自動的にフェイルオーバーさせる機能です。
物理サーバに障害が発生しても、仮想サーバが迅速に別の正常な物理サーバに切り替わり稼働を続けるため、サービスの中断を最小限に抑えることができます。
仮想サーバの注意点
仮想サーバにはさまざまな便利機能やメリットがあることを紹介しましたが、注意しなければならない点もあります。
仮想サーバの注意点を解説します。
物理サーバよりもパフォーマンスは劣る
仮想サーバは仮想化ソフトウェア上で動作するため、同じスペックの物理サーバと比べると処理性能は劣ります。
高速処理が可能なハイパーバイザー型の仮想サーバでも、同スペックの物理サーバと同等のパフォーマンスを出すことはできません。
そのため、安定して高パフォーマンスを求められるシステムでは物理サーバの方が適しているケースもあります。
物理サーバの障害対策が必須
仮想サーバは1つの物理サーバ上で複数の仮想サーバを稼働させるケースが多いため、物理サーバに障害が発生した際の影響範囲が大きくなります。
前述した高可用性機能などを活用し、物理サーバに障害が発生した際の対策を十分に行う必要があります。
ライセンス管理が複雑
仮想サーバ上でソフトウェアを利用する場合、物理サーバとは異なるライセンス形態が採用される場合があるため注意が必要です。
物理サーバのCPU数に比例したライセンスが必要になるなど、必要以上にライセンスを購入しなければならないケースもあり、意図せずライセンス違反になってしまうことがあります。
仮想サーバのクラウドサービス
仮想サーバは柔軟性やコスト効率の高さから、企業が抱えるさまざまな課題を解決することができます。
しかし、仮想サーバを作成し、構築・運用するためには専門知識の習得や、維持管理の手間・IT人材の確保が必要になるため、なかなかハードルが高く感じるのではないでしょうか。
そんな時は、クラウドサービスの利用をおすすめします。
クラウドサービスを利用することで、仮想サーバの導入や運用、維持管理の負担を大幅に削減することができます。
また、専用のハードウェアを用意する必要がないため初期導入コストを抑えることができ、短期間で運用開始ができることもクラウドサービスのメリットです。
まとめ
ITインフラを運用する上で、仮想化技術は欠かせないものになっています。
今回紹介した仮想サーバも、上手く活用することでさまざまな課題を解決することができます。
仮想サーバを利用する際は導入コストや運用負荷を抑えるために、クラウドサービスを利用することがおすすめです。
クラウドサービスは、サービスによってサポートの範囲や、リソースや自由度、ネットワーク帯域などが異なるため、要件を満たしているか、事前によく確認しておくようにしましょう。
また、クラウドサービスを利用する場合でも、仮想ネットワークを含む仮想環境の構築が必要になるため、不慣れな場合は導入から運用までをサポートしているサービスを選定することをおすすめします。
鈴与シンワートでは仮想サーバも物理サーバを提供しております。
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仮想化基盤を構築してサーバの集約に活用することも、高スペックな物理サーバを使い切ることで、動画配信や業務パッケージなどを効率的に利用することもできます。
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