クラウドサービスにおけるSaaS、IaaS、PaaS、DaaSそれぞれの意味と特徴とは? 第02回 22年10月 / 最終更新:2024.11.15
目次
各種クラウドサーバ上で提供される機能や環境をパッケージ化した「アズ・ア・サービス」(as a Service)」という言葉を耳にすることがよくあります。
この背景としては、コロナ禍によって拡大したテレワークや、デジタルトランスフォメーション(DX)の推進に伴い、企業のクラウドサービス利用が不可欠になっている状況があります。
これに伴い、クラウドサービスにおけるSaaS、IaaS、PaaS、DaaSといった概念も認知されつつあります。
本コラムでは、こうしたサービスの意味と違いについて解説します。
クラウドサービスとは
クラウドサービスとは、ソフトウェアやストレージ、またITプラットフォームといった各種サービスを、ユーザーのコンピューター上ではなく、インターネットでアクセスした先のサーバ上で利用する形態を指します。
クラウドは雲(Cloud)の意味で、サービスを頭上の雲から利用する概念に例えたものです。クラウドサービスでは、サービス提供者を「サーバ側」、サービス利用者を「クライアント側」と区別して表記します。
4つのクラウドサービス
クラウドサービスは、ビジネス・プライベートを問わず、多くのユーザーに利用されています。クラウドサービスの普及にともない、その内容は多種多様なニーズに応じて細分化されていきました。
こうした細分化の過程で生まれたクラウドサービスにおける4つの分類が「SaaS、IaaS、PaaS、DaaS」です。
以下に、それぞれのサービスについて詳しく解説します。
SaaS
SaaSは「Software as a Service」の略で、「サース」と読まれています。「サーズ」では感染症と混同してしまうので、読みも区別します。
インターネット経由でストレージを提供するサービスなど、後述するIaaSから細分化されたサービスでもあります。
SaaS用ソフトウェアの提供により、従来パッケージ製品としてクライアントのパソコンにインストールしていたものが、クラウドサービスの進化によりアプリケーションソフトウェアがインターネットを介して利用できるようになりました。
SaaSの主なメリットは次のとおりです。
・クラウドサーバ上のストレージにデータ保存が可能
・パソコン、タブレット、スマートフォンなど、マルチデバイスで利用可能
・複数のクライアントが利用できるサービスもある
・ユーザー数や利用時間に合わせて、フレキシブルに構成変更が可能
一方、デメリットとしては、インターネットを介して利用するため、ネットワーク障害の際には利用できないという点が挙げられます。
代表的なSaaSは次のとおりです。
・S-PAYCIAL
・Google Apps
・Salesforce
・サイボウズOffice
なお、SaaSはASP (Application Service Provider)で提供されるサービスと大きな差異はないとも言えるでしょう。
IaaS
IaaSは「Infrastructure as a Service」の略で、日本では「アイアース」や「イアース」と読まれています。
IaaSは仮想サーバやネットワークなどのITインフラを提供するため、従来のホスティングサービスと概念が類似していますが、大きく異なる点はリソースとネットワークの柔軟性です。
ホスティングサービスはハードウェアの構成などを変更できませんが、IaaSの場合は、管理者がメモリサイズやコア数、ストレージ容量、ネットワーク構成(ファイアウォール、ロードバランサなど)を任意にカスタマイズすることが可能です。
このように自由度が高く、また迅速に環境を構築できることがIaaSの大きなメリットです。
代表的なIaaSとしては下記が挙げられます。
・S-Port Cloud Vシリーズ
・Google Compute Engine (GCE)
・Amazon Elastic Compute Cloud (EC2)
・IBM Cloud
PaaS
PaaSは「Platform as a Service」の略で、「パース」と読まれていです。
PaaSはサービスとしてのプラットフォームを意味し、ソフトウェアを起動・動作させるための土台の役割を果たします。
一般ユーザーの利用だけでなく、ソフトウェアなどの開発プラットフォームとして利用することを想定し提供されています。具体的には、大規模なデータセンター内に設置され、アプリケーションソフトウェアが稼働するハードウェアやOS、開発環境などを外部に提供しているケースが見受けられます。
PaaSにはソフトウェアなどの開発に必要な環境があらかじめ整っているため、開発のコストや工数を大幅に削減できるというメリットがあります。
また、プラットフォームのメンテナンスなどもサービス提供者が実施するため、クライアント側がその点を意識する必要はありません。
代表的なPaaSとしては次のものがあります。
・AWS(Amazon Web Service)
・Microsoft Azure
・Google App Engine(Google Cloud Platform)
DaaS
DaaSは「Desktop as a Service」の略で、「ダース」と読まれています。
DaaSは、その名の通りデスクトップ環境をインターネット経由で利用するものです。PC用のソフトウェアや個人用フォルダなど、デスクトップを構成する要素をクラウドサービスで提供されます。DaaSで提供されているデスクトップ環境は仮想デスクトップと呼ばれることもあります。
インターネットに接続されているPCなどを用意すれば、データセンター内のデスクトップ環境を呼び出せるため、どの端末からも同じデスクトップ環境にアクセスが可能です。
代表的なDaaSとしては下記があります。
・S-Port テレワーク・リモートPCサービス
・Amazon WorkSpaces
・Azure Virtual Desktop
・Citrix DaaS
4つのクラウドサービス・それぞれの違い
SaaS、IaaS、PaaS、DaaSそれぞれについて解説しました。
次に、それぞれの違いについて詳しくみていきます。
サービス提供範囲
4つのサービスの違いは、クラウドサービスとして提供する範囲です。
PaaSはIaaSのITインフラにOSやデータベースなどのプラットフォームが併せて提供されています。SaaSは、IaaSなどのインターネット上のITインフラなどに展開されている特定のソフトウェアのみが利用できる状態が提供されます。
なお、ここで押えておきたいのは、それぞれが提供しているサービスや機能が多いほど優れているというわけではない点です。
その理由は、不要な機能が多ければ逆にサービスを持て余してしまう可能性があります。また、多機能なサービスはコストが増加する傾向にあることも問題となります。
また、SaaSではソフトウェアがすぐに利用可能である一方、クライアント側がカスタマイズする余地が少ないケースが多いため、カスタマイズした独自のシステムを利用する場合はIaaSやPaaSの利用が向いている場合があります。
まとめ
クラウドサービスにおけるSaaS、IaaS、PaaS、DaaSそれぞれの意味と特徴について解説しました。
それぞれの特徴をよく理解し、効果的に利用していきましょう。「やりたいことを実現するためにはどのサービスが良いのか」「どのサービスを組み合わせたらコスト削減できるのか」など、是非お気軽にお問い合わせください。
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