ハイパースケールデータセンターとは?概要や市場の動向を解説します! 第07回 24年01月 / 最終更新:2024.06.06
目次
大規模事業向けのハイパースケールデータセンターが近年注目を集めています。
本コラムでは、ハイパースケールデータセンターの概要や、ハイパースケールデータセンターを中心としたデータセンター市場の動向について解説します。
従来型のデータセンターを含めたデータセンター市場の現状と今後について、是非ご参考にしてください。
ハイパースケールデータセンターとは
ハイパースケールデータセンターは、大規模なデータ処理能力と大容量のストレージを持つデータセンターです。明確な定義はありませんが、一般的に5,000台以上のサーバを格納できるような巨大な施設をハイパースケールデータセンターと呼びます。
データ使用量の増加やクラウドサービス需要の高まり、DXの推進などに伴い、ハイパースケールデータセンターの需要は年々増加しています。
従来型データセンターとの違い
一般的にいわれているハイパースケールデータセンターと従来型データセンターの違いは次の表のとおりです。
ハイパースケールデータセンター | 従来型データセンター | |
契約単位 | ルームやPOD(※1)単位 | ラック単位 |
契約者数 | 少数 | 多数 |
電気料金 | 従量制 | 固定制 |
省エネの受益者(※2) | 利用者 | データセンター事業者 |
※1 消費電力が1,000~2,000kW程度を1とする単位
※2 省エネによる利益を受ける者
ハイパースケールデータセンターの電気料金は主に従量制です。規模が大きい分、消費する電力量も多いため、利用者には省エネ対策が求められます。
ハイパースケールデータセンター、ホールセール・データセンターとは
ハイパースケールデータセンターはデータセンターの規模、ホールセール・データセンターはサービス形態を意味します。
ハイパースケールデータセンターは、膨大なデータ処理能力とストレージを持つ大規模な施設を指します。ホールセール・データセンターは、建物全体を1社が管理し、スペースを他の企業にリースするサービス形態を指します。
どちらも多くは大規模なデータセンターを指しますが、指標が規模なのか、サービス形態なのかで異なります。
ハイパースケールデータセンター市場の状況
ハイパースケールデータセンターの現状と今後について、以下4点から解説します。
・主な利用者はメガクラウド事業者である
・データセンターのハイパースケールシフトが起きている
・ハイパースケールデータセンターの用途は今後拡大する
・ハイパースケールデータセンター市場は世界的に成長する
主な利用者はメガクラウド事業者である
ハイパースケールデータセンターの主な利用者は、Amazon・Google・Microsoftなどのメガクラウド事業者です。AWS・Microsoft Azure・Google Cloudのような大規模クラウドサービスは、膨大なデータ処理能力とストレージを必要とします。世界中でクラウドサービスを提供するための基盤として、ハイパースケールデータセンターを利用しています。
データセンターのハイパースケールシフトが起きている
データセンターはハイパースケール化にシフトしています。インプレス総合研究所の調査によると、国内データセンターの累計ラック数において、ハイパースケール型データセンターがリテール型(※)を上回る見込みです。
※従来型の中小規模データセンター
出典:「ハイパースケール型DC・リテール型DC それぞれの累積ラック数(2012年~2028年)」
株式会社データリソース(インプレス総合研究所)
今後のデータセンター市場はハイパースケール化の流れとなり、ハイパースケールデータセンターが市場を牽引していく存在になると思われます。
ハイパースケールデータセンターの用途は今後拡大する
過去のハイパースケールデータセンターは、AWS・Microsoft Azure・Google Cloudなどのメガクラウドの基盤として多く使われてきましたが、今後は用途が拡大することが予想されます。
データ使用量の増加やIT化・DX化の促進により、メガクラウド事業者以外のクラウドサービス事業者や一般企業がハイパースケールデータセンターを利用するケースが増えています。大企業がプライベートクラウド用に使用したり、AIやビッグデータ処理などに活用したりと、ハイパースケールデータセンターの用途は多様化していくと思われます。
ハイパースケールデータセンター市場は世界的に成長する
Panorama Data Insightsのレポートによると、世界のハイパースケールデータセンター市場は、2030年には5642億米ドルに達する見込みです。2021年の802.3億米ドルから約10年で約7倍に成長するとみられ、ハイパースケールデータセンターの世界市場が大幅に拡大していくことを示しています。
ハイパースケールデータセンターは、今後のデータセンター市場をリードし、世界のクラウドサービス事業を支える存在です。
ハイパースケールデータセンターの課題
ハイパースケールデータセンターの主な課題は、巨額の設備投資です。大規模な施設の構築、大量の電力消費、高額な実装コストなどが必要です。東京近郊や大阪郊外での建設が進んでいますが、将来的には地方での建設も増えることが予想されます。電力消費抑制のために、再生可能エネルギーの活用も必要です。
現在、国内のハイパースケールデータセンター市場には、外資系企業が積極的に参入しています。今後のデータセンター市場は、世界的な競争に発展していくと考えられます。
従来型データセンターの現状と今後
ハイパースケールデータセンターの成長の裏で、ハウジング・ホスティングサービスやプライベートクラウド用の環境を提供する従来型のデータセンターは今後に向けて、課題を抱えています。クラウドサービスの需要が拡大していく中で、従来型のデータセンターがどうなっていくのか解説していきます。
従来型データセンターの課題
従来型データセンターの主な課題は、老朽化による省エネ効率の低下と、それに伴うランニングコストの増加です。サーバやラックの貸し出しビジネスでは価格競争に陥りやすいため、老朽化対策や新規投資への原資確保が難しくなっています。
従来型のデータセンターは、ハイパースケールデータセンターやパブリッククラウドなどと厳しい競争を強いられている状況です。
従来型データセンターとクラウドサービスの需要
近年IaaS/PaaSの需要が増加しており、クラウドサービスを提供するためのデータセンターが増えてきています。ハウジングサービスやホスティングサービスなどではなく、クラウドサービスの基盤に特化したデータセンターが今後のトレンドとなる可能性があります。
一方でハウジングサービスやホスティングサービスも、そのセキュリティの高さや、電力が定額制であることから根強い需要があります。ハウジングサービスとクラウドサービスの良いところを併せ持ったハイブリッド型のデータセンターへの注目も高まっていくと予想されています。
まとめ
ハイパースケールデータセンターの市場規模は今後10年で7倍近くの成長が見込まれています。このような背景から、企業のITインフラはAWS・Microsoft Azure・Google Cloudなどのメガクラウドを中心に、パブリッククラウドサービスが主流になっていくと考えられます。
一方で従量制課金のパブリッククラウドサービスは、規模によっては割高となるケースがあることとセキュリティ対策の観点から、オンプレミスやプライベートクラウドも選択肢として残っていくでしょう。
鈴与シンワートは東京、大阪・北陸・九州・沖縄にデータセンターを展開し、ハウジングサービスやクラウドサービスを提供しています。
データセンターやクラウドサービスの利用を検討されている方は、是非お気軽にご相談ください。
https://www2.shinwart.co.jp/l/907272/2022-01-17/3nzm9
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