監視とクラウドコンピューティングの基本 第01回 19年01月 / 最終更新:2019.01.30
目次
## はじめに
今回から、クラウド時代の監視技術という題名で、クラウドコンピューティングを使用した監視およびクラウドコンピューティングに対する監視についてコラムを書かせていただきます。よろしくお願いします。
第1回では、監視とクラウドコンピューティングの定義についておさらいさせていただきます。
## 監視とはなにか
コンピュータの監視というと何を思い浮かべるでしょうか?コンピュータが故障した際のアラート、CPU・メモリ・ハードディスクなどの性能監視、ネットワークトラフィックの増加傾向の監視など、いくつかの思い浮かぶことがあります。
監視とは、コンピュータに対して何らかの測定を行い、それを判断して通知し、アクションを促します。ここで測定されたデータは保管・分析され、今後のアクションの判断材料にします。
このコラムでは、クラウドコンピューティングを対象とするのですが、以下の点を明確にしたいと思います。
- 何故監視するか(Why)
サービス継続のため、負荷低減する、効率的にリソースを割り当てる等
- どこで監視するか(Where)
監視するサービス内、内部ネットワーク、外部ネットワーク何を監視するか(What)
ハードウェア、ソフトウェア、サービス、性能、トラフィック等
- 何が監視するか(Who)
ハードウェア、ソフトウェア、人間等
- いつ監視するか(When)
故障した際、常時、何分ごと、何時間ごと、何日ごと
- どうやって監視するか(How)
エージェント、SNMP、外部から接続、ログを検索…
運用や構築をされるエンジニアの皆様には当然のことだと思いますが、監視というものは、ただ値を測定するだけではありません。何のために測定するのか、その目的を満たすためには、どこから、何を監視して、どのようなアクションを取るのかということを用意しておくことが必要です。
クラウドコンピューティングとはなにか
現在ではクラウドファーストという言葉があるくらい、クラウドコンピューティングが一般的になってきました。ここで、今一度クラウドコンピューティングの定義をおさらいします。
[NISTの定義](https://www.ipa.go.jp/files/000025366.pdf)によると、以下の項目が特徴として挙げられます。自分なりに解釈したものになりますので、正しくは原文をお読みください。
- オンデマンドセルフサービス
ユーザが人を介すること無く自動的にコンピューティング能力(CPU、ネットワーク、ストレージなど)を設定できる
- 幅広いネットワークアクセス
コンピューティング能力をネットワーク経由で、標準的な仕組みで利用可能である
- リソースの共用
サービス提供者のコンピューティングリソースは集積され、マルチテナントモデルを利用して複数ユーザの需要に対応でき、動的に割り当てられる
このリソースの割当は、物理的な場所に制約されたりしないが、抽象的なレベル(国、州、データセンターなど)で特定可能である
- スピーディーな拡張性
コンピューティング能力が伸縮自在であり、需要に応じてスケールアウト・インでき、無尽蔵に提供可能なように見える
- サービスが計測可能であること
サービスの種類に適した管理レベルでコンピュータリソースの使用をモニタ、コントロール、最適化を行い、その利用結果はユーザにもサービス提供者にも明示できる。
上記の特徴から、クラウドサービスを監視することは今までの監視とは異なる部分も出てきます。
例えば、使用状況によって監視対象が増減しますし、対象が仮想OS・仮想マシンであることからその部分を考慮する必要が出てきます。
逆にクラウド特有のサービスを使用することで、監視が楽になる部分も発生します。監視のためのクラウドサービスも複数存在し、それを利用することも可能になります。
次回からは、実際の監視ツールを使ってどのような監視を行うのかを紹介したいと思います。お楽しみにお待ち下さい。
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