大喜多 利哉の最新ネットワーク技術事情

著:大喜多 利哉氏

ホワイトボックススイッチ第04回 15年09月更新

こんにちは、デジタルサポート大喜多[http://www.ookita.biz/]です。

皆さんは「ホワイトボックススイッチ」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。これまでルータやスイッチなどのネットワーク機器は、特定のネットワーク機器ベンダーが専用のハードウェアと専用のソフトウェアを開発し、それらをセットにして販売してきました。ホワイトボックススイッチは、スイッチのハードウェア部分のみの製品であり、ホワイトボックススイッチを制御するソフトウェアはホワイトボックススイッチ上で稼働するOS(Linuxベース)を自社開発してインストールするか、ホワイトボックススイッチ専用のLinuxディストリビューションを提供するベンダーから購入・カスタマイズしてインストールすることになります。

ホワイトボックススイッチが提供するメリットは以下の通りです。

1.機能追加

ホワイトボックススイッチではLinuxベースのOSが稼働し、ASICやネットワーク機能のAPI仕様が公開されているため、自社で必要な機能を開発したり、既存のOSSと組み合わせてシステムの要求に応えるスイッチを開発することができます。

2.ハードウェアのコモディティ化

スイッチですのでIAサーバと全く同じ設計とまではいかないものの、CPU・NIC・ASICなどはIAサーバでも使用される汎用パーツで構成されています。このことから専用ハードウェアを開発しているメーカーから購入するよりもコストが下げられると言われています。

前回のコラムで、GoogleやFacebookといった超巨大ITインフラを保有するサービス企業はITコストと運用を最適化する必要があります。特にGoogleはサーバハードウェア・DBサーバ・Webサーバ等を自社開発しており、今後はSDNの開発・導入も表明しています。そのためにこのような自社で機能のカスタマイズができるハードウェアが必要になってくるのでしょう。北米の大規模DCではこのようにコモディティ化したハードウェアによって構成されたネットワークが中心になっていくと言われています。

個人的な考察としては、GoogleやFacebookのような超巨大インフラを保有するサービス企業はホワイトボックススイッチを大量に購入して原価を下げ、自社インフラの要件に最適化したソフトウェアを開発していくことは十分可能だと考えています。彼らはそれだけのリソースを保有していますし、するだけの価値を得られるからです。(本当にするかどうかはわかりませんが)

しかし、一般的なエンタープライズ領域・サービスプロバイダ領域・プライベートクラウド領域といった中規模クラスのインフラでホワイトボックススイッチがすぐに普及するとは考えていません。大量購入するものではないのでコストメリットがないことと、ソフトウェアサポートの問題、開発リソースの問題があるからです。

しかしハードウェア・ソフトウェアのコモディティ化がもたらすメリットは確実に存在すると考えています。今までネットワーク機器の設定はネットワークエンジニア、サーバの設定はサーバエンジニアといったような分業がなされてきました。仮想化基盤を利用していたとしても、サーバエンジニアはネットワークエンジニアにネットワーク設定の依頼をしなければなりませんでした。ネットワーク機器の自動設定やサーバ構築との連動というところは今までネットワーク機器が弱かった部分ですが、双方がLinuxベースになったことで、Chef等のサーバ構成管理ツールでサーバのプロビジョニングとネットワークのプロビジョニングを同時実行・一括管理できるようになるかもしれません。

 

<参考URL>

ホワイトボックススイッチとは何か? オープン化がすすむネットワーク機器のハードとソフトの動向(前編)。ホワイトボックススイッチユーザ会 第一回勉強会

http://www.publickey1.jp/blog/15/post_255.html

ホワイトボックススイッチとは何か? オープン化がすすむネットワーク機器のハードとソフトの動向(後編)。ホワイトボックススイッチユーザ会 第一回勉強会

http://www.publickey1.jp/blog/15/post_256.html

ホワイトボックススイッチとは

http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/keyword/14/260922/100900011/