ハウジングとは? 第01回 24年02月 / 最終更新:2024.02.06

鈴与シンワートのデータセンター「S-Port」

近年、企業や組織がサーバ、ネットワークなどのITインフラを外部に委託する手段として注目されているのが、「ハウジング」です。
ハウジングは、堅牢なデータセンターを利用することで、サーバやネットワーク機器を安全かつ効率的に運用するサービスです。

本記事では、ハウジングの基本概念からメリット、関連するサービス、そして注意点までを詳細に解説していきます。

 

ハウジングとは

ハウジングは住宅や住居を指す言葉ですが、ITの世界におけるハウジングとはデータセンター事業者がサーバやネットワーク機器を設置するためのスペースを貸し出しするサービスのことを指し、ハウジングサービスとも呼ばれます。

データセンターのスペースを貸し出しするサービスとして、「コロケーション」と呼ばれるサービスもありますが、現在ではハウジングと同じような意味で使われることが多くなっています。
一般的にはサーバルーム単位での貸し出しなど規模が大きいものをコロケーション、ラック単位など規模が小さいものをハウジングと呼ぶ傾向にあります。
ハウジングとコロケーションには明確な用語の定義が存在せず、事業者によって呼び方が違う場合もあるため注意が必要です。

 

ホスティングとの違い

ハウジングとよく比較されるサービスとして、ホスティングがあります。ハウジングはデータセンターのスペースを貸し出すサービスのため、設置するサーバやネットワーク機器は利用者側で調達する必要があります。

一方で、ホスティングはデータセンター事業者などが所有するサーバやネットワーク機器を貸し出すサービスことを指し、レンタルサーバとも呼ばれます。
ホスティングの場合、サーバやネットワーク機器の所有権がデータセンター事業者などにあるため、機器の管理やメンテナンスが不要といったメリットがあります。

ホスティングは機能に制限がある場合が多く、使用する機器に応じてコストも上がるため、複雑なシステムや独自の大規模なシステムを構築する場合はハウジングの方が適しています。

 

ハウジングのメリット

ハウジングを利用するメリットには、以下のようなものがあります。

機器の安定稼働

サーバやネットワーク機器などは高温多湿に弱く、適切な環境で稼働させないと性能低下や、故障を引き起こす可能性があります。
また、停電などで機器の稼働中に電源が落ちた場合、システムが破損することもあります。
データセンターでは無停電電源装置や非常用発電機といった冗長化された電源設備の提供や、適切な空調管理によって温度や湿度が一定に保たれており、サーバやネットワーク機器を安定して稼働させることができます。

BCP対策

データセンターは一般的に災害に備えて耐震・免震構造になっています。また防火設備、非常用発電機など、災害時の被害を最小限に抑えるための設備も整っています。
そのため地震や火災などの発生時に、システム停止やデータ損失といった故障を防げる可能性が高くなります。
また、異なる地域のデータセンターに遠隔バックアップやシステムの冗長化を行うDR(ディザスタリカバリ)を行うことで、災害時などの事業継続やシステム復旧の確実性を高めることができます。

強力な物理セキュリティ

データセンターでは生体認証による入退室管理、サーバラックの施錠管理、監視カメラの設置など強力な物理セキュリティ対策をしています。
パソコンや記憶媒体、カメラなどの持ち込みチェックや、共連れ防止など情報漏洩を防ぐための仕組みも徹底しています。
ハウジングを利用することで、データセンターの物理セキュリティの恩恵を受けられることも大きなメリットです。

コストが抑えられる

先に紹介したような設備やセキュリティ対策を利用者側で実現しようとすると、設備の購入に加えて、電気料金や人件費など莫大な運用コストがかかるため、ハウジングを利用した方がコストを抑えられるケースが多くなります。

ハウジングサービスのメリット

ハウジングに関連するサービス

ハウジングはスペースの貸し出しに加えて、監視サービスやオペレーションサービスなど、様々な関連サービスが提供されています。関連サービスの例を紹介します。

機器監視サービス

ハウジングで設置した機器を24時間365日リアルタイムで監視するサービスです。
目視確認による故障ランプ点灯チェックや、専用ツールによるネットワークの死活監視、ディスク容量・CPU稼働率などのリソース監視を行い、機器やシステムに異常がないかをモニタリングします。
異常を検知した場合は、運用担当のエンジニアが利用者へ迅速に連絡をする仕組みになっています。
また、事前に手順をすり合わせておくことで、障害対応を提供する事業者もいます。

オペレーションサービス

利用者の定期的な業務処理や動作の確認、データのバックアップ作業などを運用担当のエンジニアが代行するサービスです。OSのアップデートやセキュリティパッチの適用などを代行することもあります。

リモートハンドサービス

運用担当エンジニアが利用者に代わってサーバラック内の作業を行うサービスです。機器の物理的な障害やネットワーク障害の発生時に利用者の指示に従って作業を代行することもあります。

データ消去サービス

ハウジングで設置している機器を撤去する際に、記憶媒体のデータ消去を代行するサービスです。
専用ツールでランダムなデータを上書きしての消去や、磁気消去装置での消去、物理的な破壊による消去などがあります。
リース契約などで期間満了後に機器を返却しなくてはならないケースもあるので、適切なデータ消去方法を選択する必要があります。

ここで紹介した関連サービスは一例であり、データセンター事業者によって提供しているサービスや名称、内容などが異なる場合があります。

 

ハウジングの注意点

ハウジングのメリットや関連サービスについて紹介しましたが、ハウジングを利用する上で注意しなければならない点も紹介します。

機器の調達や管理は利用者側で行う必要がある

ハウジングはスペースの貸し出しのため、設置するサーバやネットワーク機器は自社で調達する必要があります。そのため、機器の購入費用がかかります。
また、機器の所有権は利用者側にあるため、サーバの構築やメンテナンス、機器が故障した際の修理手配なども利用者側で行う必要があります。

基本的にはリモート操作になる

ハウジングを利用する場合は、自社からデータセンターまで専用線やVPNを用いてネットワーク経由でサーバに接続し、リモートで操作をする必要があります。ネットワーク障害が発生した場合や、サーバがハングアップしてしまった場合には操作不能となるリスクがあります。
物理的な作業が必要になった場合はデータセンターへ足を運び作業する手間がかかることもあります。

事業者によってサービス内容が異なる

ハウジングはデータセンター事業者によってサービス内容が異なりますので、料金体系、ラックやユニットの貸し出し単位(フルラック、ハーフラック、ユニット単位など)や電源容量など基本的なサービス内容を確認しましょう。
関連サービスについても事業者によって提供している内容が違うため、比較検討をする必要があります。
また、設備や災害対策、セキュリティ対策についても自利用者が求める要件を満たしているか確認しましょう。

ハウジングサービスの注意点

まとめ

ハウジングを利用することで、機器の安定稼働、BCP対策、セキュリティ対策、そしてコスト削減などのさまざまなメリットがあることを紹介しました。
一方で、ハウジングはネットワーク経由のリモート操作が必要になり、操作不能になるリスクがあることや、物理作業にはデータセンターに足を運ぶ必要があることなどのリスクがあることも解説しました。
ハウジングを利用する上でのリスクは、データセンター事業者が提供する関連サービスや機器の機能によっては、軽減することができるものもあります。
自由度の高いシステムを構築したい、安全かつ安定した環境で機器を運用したい、災害から大切なデータを守りたい、などの要望がある場合にはハウジングの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

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