クラウド環境だけでは不十分?データセンターが担うセキュリティの最前線 第18回 26年03月 / 最終更新:2026.03.12
目次
クラウドサービスは、サーバの調達や運用の負担を軽減し、高いスケーラビリティや可用性を実現できるため、多くの企業で利用されています。
一方で、サイバー攻撃によるランサムウェア被害や情報漏洩といったセキュリティインシデントの報告数は高い水準で推移しており、セキュリティ対策の強化が求められています。
このような背景があり、高度なセキュリティ対策を実現できる「データセンター」の存在が注目されています。
本コラムでは、クラウド環境に潜むセキュリティリスクを整理したうえで、データセンターが担うセキュリティの最前線と、ハイブリッド環境における有効なセキュリティ対策について解説します。
クラウド環境におけるセキュリティリスク
近年のクラウドサービスは、高度なセキュリティ機能を標準装備していることが多く、決してセキュリティレベルが低いわけではありません。
しかし、クラウド環境特有のセキュリティリスクが存在するのも事実です。

ここでは、代表的なクラウド環境のセキュリティリスクについて解説します。
不正アクセスなどのサイバー攻撃
クラウド環境は、インターネット経由での利用を前提としているため、常に外部アクセスからの危険にさらされています。この特徴から、ランサムウェアや不正アクセス、DDoS攻撃などのサイバー攻撃の標的になりやすいという側面があります。
特に、認証情報の窃取や脆弱なパスワード設定による不正アクセスは被害のきっかけになりやすく、一度侵入を許すとクラウド環境上の複数のシステムに影響が及ぶ可能性があります。利便性の高さと引き換えに、攻撃対象になりやすい点は、クラウド環境における大きな課題です。
設定ミスによる情報漏洩
クラウド環境では、利用者自身がアクセス制御やネットワーク設定などをするケースが多く、設定ミスによる情報漏洩が発生しやすい傾向にあります。
たとえば、ストレージの公開範囲設定を誤ったことで、社外から機密情報にアクセスできる状態になっていたという事例は少なくありません。
クラウドサービスは柔軟性が高い反面、設定項目が多く、セキュリティを適切に維持するには専門的な知識と継続的な管理が求められます。
セキュリティレベルのコントロールが困難
クラウド環境を利用する際は、ITインフラ部分のセキュリティ対策をクラウドベンダーに依存する形になります。ベンダー側でセキュリティ対策が講じられている一方で、利用者がその詳細を完全に把握・コントロールすることは困難です。
また、障害やセキュリティインシデントが発生した場合に、利用者側で直接対処できる範囲は限られます。自社のセキュリティポリシーを細部まで反映しにくい点も、クラウドサービス単体運用における課題のひとつです。
データセンターのセキュリティ最前線
データセンターは、クラウド環境では実現しにくい高度なセキュリティ対策が実現可能であり、その内容も進化しています。
ここでは、データセンターが担う最前線のセキュリティ対策について解説します。

強固な物理セキュリティ
データセンターの大きな特長のひとつが、強固な物理セキュリティを備えていることです。施設への入退室は厳格に管理され、生体認証やICカード、多要素認証などを組み合わせた仕組みが一般的です。さらに、監視カメラや24時間365日の有人警備によって、不正侵入や内部不正のリスクを最小限に抑えています。
近年では、ゾーンごとにアクセス権限を細かく分ける「エリア分離」や、持ち込み機器の制限など、より高度な物理セキュリティ対策を導入するデータセンターが増えています。サーバに物理的に触れられない環境を整えることは、サイバーセキュリティ対策と並ぶ重要なセキュリティ要素です。
サイバーセキュリティ対策の強化
データセンターでは、サイバー攻撃に備えるためのネットワークセキュリティも強化されています。ファイアウォールやIDS/IPS、DDoS攻撃対策といった仕組みを組み合わせることで、外部からの攻撃を早期に検知・遮断することが可能です。
また、クラウド環境との接続に、インターネットを介さない閉域ネットワークを利用できる点も大きな強みです。閉域網接続で通信経路を限定することで、盗聴やなりすましなどのリスクを大幅に低減できます。
内部と外部のネットワーク環境をいずれも信頼せず情報資産を守る「ゼロトラスト」の考え方が広がる中で、通信経路そのものを安全に保つデータセンターの役割はますます重要になっています。
多層防御の実現
データセンターでは、物理・ネットワーク・運用など複数のレイヤーで防御する「多層防御」を実現することができます。多層防御では、仮にひとつの防御層を突破されたとしても、別の層で攻撃を食い止めることで被害の拡大を防ぐことが可能になります。
最近では、AIを活用した異常検知や、ログの統合管理による高度な監視体制などの対策を組み合わせたデータセンターも増えており、セキュリティレベルは日々進化しています。
ハイブリッド環境でのセキュリティ対策
近年では、クラウド環境とデータセンターを組み合わせたハイブリッド環境が主流になっています。ハイブリッド環境では、データセンターを上手く活用することでセキュリティを強化することが可能です。
ここでは、ハイブリッド環境でのセキュリティ対策について解説します。

データセンターを起点としたセキュリティ対策
データセンターをセキュリティの起点(ハブ)とし、そこを経由してクラウドサービスへ接続する構成をとることで、社内外の通信を一元的に管理することが可能になります。これにより、各サービスで分散しがちなセキュリティポリシーを統合し、全体としてのセキュリティレベルを引き上げることができます。
また、通信の入口と出口をデータセンター側に集約することで、不正アクセスや異常な挙動を早期に検知しやすくなり、インシデント発生時に迅速に対応できる点が大きなメリットです。
クラウド環境とデータセンターの使い分け
システムやデータの特性に合わせて、クラウド環境とデータセンターを使い分けることもセキュリティ対策として有効です。たとえば、機密性の高いデータや基幹系システムはデータセンターで管理し、利便性や拡張性が求められるシステムはクラウド環境で運用する、といった使い分けをすることでセキュリティリスクを低減することができます。
また、法令やガイドラインへの対応が求められる場合には、物理機器の管理まで含めて統制できるデータセンターでの保管が有効な手段です。
「クラウドだけでは不十分?データセンターが担うセキュリティの最前線」のまとめ
クラウドサービスは非常に便利ですが、クラウド環境におけるセキュリティリスクを正しく理解したうえで運用することが重要です。
セキュリティレベルの引き上げには、物理セキュリティやネットワークセキュリティを強化できるデータセンターの活用が有効な選択肢となります。
データセンターを起点にクラウドサービスへ接続することで、利便性と安全性を両立したセキュリティ対策が可能です。また、セキュリティの起点をデータセンターに置くことで、特定のクラウドベンダーに依存することなく、自社の方針に沿ったセキュリティレベルを主体的にコントロールできる点も大きなメリットです。
クラウドサービスの利用が当たり前になった現代だからこそ、データセンターを活用し、より高度で柔軟なセキュリティ対策を実現していきましょう。
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