パブリッククラウドとプライベートクラウドの違いとは?選び方を解説します! 第03回 23年08月 / 最終更新:2024.07.22
目次
クラウドサービスの利用を検討する際に、パブリッククラウドとプライベートクラウドの違いがわからず、頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。
本コラムでは、パブリッククラウドとプライベートクラウドの違いやそれぞれのメリットデメリットを紹介します。また、選び方のポイントの解説もあるので、クラウドサービスの導入を検討されている方はぜひ参考にしてください。
パブリッククラウドとは
パブリッククラウドは、一般のユーザーや企業がインターネットを通じてアクセスできるクラウドサービスです。サービスプロバイダが提供するリソースを、複数の顧客が共有しながら利用します。必要なリソースをオンデマンドで迅速に確保し利用できるため、初期投資が少なく拡張性が高いのが特長です。
AmazonのAWSやMicrosoft Azure、Googleが運営するGCPなど、多くのサービスがこの形態をとっています。
プライベートクラウドとは
プライベートクラウドは、特定の組織や企業が自社専用に構築するクラウドコンピューティング環境です。プライベートクラウドは大きく、オンプレミス型とホスティング型の2種類に分類されます。
オンプレミス型は、自社内にサーバを設置し、その上にクラウドコンピューティング環境を構築します。一方のホスティング型は、外部のデータセンターなどに設置した物理サーバ上に、専用のクラウドコンピューティング環境を構築するタイプのプライベートクラウドです。
パブリッククラウドとプライベートクラウドの違い
パブリッククラウドとプライベートクラウドは、どちらも物理サーバの上に仮想サーバを構築し、クラウドコンピューティング環境として利用されます。異なるのはその提供方法と利用範囲です。
パブリッククラウドは、共有の物理サーバ上に構築した仮想環境を、複数の企業や個人に割り当てます。一方のプライベートクラウドは、占有の物理サーバを企業や組織が独占し、専用のクラウドコンピューティング環境を構築します。
例えて申し上げますと、マンションの部屋ごとに契約するのがパブリッククラウド、マンション1棟を丸々所有し、好きなように利用するのがプライベートクラウドといったイメージです。
パブリッククラウドのメリット
まずはパブリッククラウドのメリットを3点紹介します。
コスト効率が良い
初期投資をおさえられるのが大きなメリットです。高価なハードウェアやインフラを事前に設置する必要がありません。料金は使用量やサービス内容によって変動するため、リソースを最小限にしたり、1日の使用時間を制限したりすることで、ランニングコストを節約することもできます。
拡張性が高い
パブリッククラウドは、需要に応じてリソースを簡単な操作で増減することができます。事業拡大に合わせてサーバ追加するなど、柔軟な運用が可能です。
ハードウェアの保守運用が不要
サービスプロバイダがシステムのアップデートやメンテナンスを行うため、ユーザー側で運用する手間が不要です。
パブリッククラウドのデメリット
パブリッククラウドにはメリットが多いものの、いくつかのデメリットもあります。主なデメリットは以下の3点です。
カスタマイズが制限される
サービスプロバイダが提供する環境に依存するため、特定の要件に合わせて環境を細かくカスタマイズできない場合があります。
費用の予測が困難
オンデマンドの課金モデルの場合、リソースの利用量/時間に応じてコストが変動し、長期的なコスト予測が難しい面があります。トータルの料金ではプライベートクラウドの方が安くなる場合もあるため、初期投資とランニングコストを含めた料金比較が必要です。
セキュリティリスクがある
パブリッククラウドは不特定多数のユーザーがアクセスできるため、サイバー攻撃の標的にされやすく、セキュリティインシデントが発生した際の影響も大きくなります。そのため、プライベートクラウドと比較するとセキュリティリスクが高いことがあります。
プライベートクラウドのメリット
続いて、プライベートクラウドのメリットを4点紹介します。
高セキュリティ
プライベートクラウドは独立した環境で動作するため、外部の脅威から隔離した構築が可能です。不特定多数がアクセスできるパブリッククラウドより、高いセキュリティを確保することができます。
カスタマイズが自在
専用の環境であるため、個別の業種や業務のニーズに合わせて、柔軟にハードウェアやネットワーク、ソフトウェアをカスタマイズできます。
パフォーマンスが安定
リソースを他の利用者と共有しないため、安定したパフォーマンスが期待できます。
コストの透明性が高い
環境が固定されるため、必要なリソースやコストを事前に計画しやすく、5年~7年程度の長期的なスパンでコストの見通しをたてることができます。
プライベートクラウドのデメリット
プライベートクラウドにも、いくつかのデメリットがあります。主なデメリットは以下の4点です。
初期投資が高額
専用のハードウェアやソフトウェアを導入するため、購入コストや環境の構築コストがかかります。パブリッククラウドに比べて初期投資が高額になります。
運用の負担がかかる
独自のクラウド環境を維持・管理するためのコストがかかります。また、専門的なスキルが求められます。
組織内に技術者がいない場合は、外部ベンダーへ委託する必要があります。
拡張性がない
事業拡大などに対応するためのリソース追加に、時間やコストがかかる場合があります。そのため、将来の事業拡大などを見越して、余裕を持ったリソースをあらかじめ準備しておくことが重要です。
技術の陳腐化
技術の進化が早いIT業界において、長期間、同じハードウェアやソフトウェアを利用し続けることは、技術の陳腐化を招くリスクがあります。
クラウドサービスの選び方
最後に、プライベートクラウドとパブリッククラウドのどちらを採用するか検討する際のポイントを、4点紹介します。
初期費用
プライベートクラウドは初期費用が高額なため、一般的に費用が高いと考えられる傾向にあります。しかし、ランニングコストを含めた5年~7年のトータル費用を比較すると、意外とパブリッククラウドの方が高額となるケースもあります。
そのため、将来の事業拡大も見越して、トータルでかかるコストを試算し、比較することが大切です。初期費用を支出する予算がある場合は、費用面においてもプライベートクラウドが有利になる可能性があります。
将来の見通し
クラウドサービスを選択する際、拡張性が大きなポイントになります。
スタートアップやベンチャー企業、需要の変動が大きい業界など、変化が大きく予測が困難な場合は、拡張性に優れるパブリッククラウドがおすすめです。反対に、業績が安定している企業や変化の少ない業界の場合はプライベートクラウドが有力な選択肢となります。
運用の手間
プライベートクラウドはメンテナンスの手間がかかるといわれます。しかし、外部ベンダーに運用保守を委託すれば、手間の削減は可能です。さらに、データセンターに物理サーバを設置すれば、死活監視やバックアップの確認のような日々の運用や障害対応なども、まとめて依頼することができます。
運用の手間という観点では、実はプライベートクラウドもパブリッククラウドも、条件は同等といえるでしょう。
求める要件
プライベートクラウドは、リソースの占有や、自由度の高さ、セキュリティの高さなどのメリットがあります。独自性の高いシステムを導入する場合や、安定した性能を求められる場合、機密性の高い情報を扱う場合など、特定の要件がある場合はプライベートクラウドがより適しています。
まとめ
本コラムでは、パブリッククラウドとプライベートクラウドの違いについて、メリットとデメリットを交えて解説しました。
どちらがより最適かは、求める要素によって大きく変わります。まずはサーバを導入する目的や求める要件を明確にし、両者を比較することが大切です。
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