ガバメントクラウド移行で国内データセンターは不要になる? むしろ重要になる理由 第11回 26年10月 / 最終更新:2026.10.23

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近年、政府が主導する「ガバメントクラウド」への移行が注目を集めています。その一方で、「クラウドへ移行するなら、国内データセンターは不要になるのでは?」と考える方も少なくありません。

しかし実際には、ガバメントクラウドの普及により、国内データセンターの重要性はむしろ高まっています。

本コラムでは、ガバメントクラウドの概要やメリットを整理した上で、国内データセンターが今後さらに重要になる理由について解説します。

ガバメントクラウドとは

ガバメントクラウドとは、デジタル庁が主導して整備・運用する、政府共通のクラウドサービス利用環境です。各府省庁や地方自治体が個別に運用していた情報システムを共通化し、標準化されたクラウド環境へ移行することを目的としています。

ガバメントクラウドの仕組み

ガバメントクラウドの仕組みの特徴は、デジタル庁がクラウドサービス提供事業者と直接契約をする点です。自治体や各府省庁は、デジタル庁から提供されたクラウド環境を利用し、その上で必要なシステムを構築・運用します。

自治体クラウドとの違い

ガバメントクラウドと自治体クラウドは、利用対象や目的に違いがあります。
自治体クラウドとは、複数の地方自治体が共同で情報システムやデータセンターを利用する仕組みです。一方、ガバメントクラウドは、国が統一的なクラウド環境を提供し、各府省庁や全国の自治体がその基盤を利用する仕組みとなっています。

ISMAPとの違い

ISMAP(Information system Security Management and Assessment Program:イスマップ)とは、政府が求めるセキュリティ基準を満たしているクラウドサービスを評価・登録する制度です。政府機関や自治体が安全性の高いクラウドサービスを選定できるようにすることを目的としており、クラウドサービス提供事業者は、定められたセキュリティ基準を満たすことでISMAPへ登録されます。

一方、ガバメントクラウドは、政府や自治体が利用する共通クラウド基盤を指す言葉です。つまり、ISMAPはクラウドサービスの「評価・登録制度」、ガバメントクラウドは政府・自治体向けの「共通クラウド基盤」という違いがあります。

ガバメントクラウドでは、安全性を確保するために、デジタル庁がISMAPに登録されているクラウドサービスの中から対象サービスを選定しています。

ガバメントクラウドのメリット

地方自治体がガバメントクラウドに移行するメリットは、
大きく以下の3つです。

● 運用の負担を軽減できる
● システムを柔軟に拡張できる
● セキュリティレベルを高められる

それぞれのメリットを見ていきましょう。

メリットを想起させる画像

運用の負担を軽減できる

従来は、自治体が独自にシステム環境を構築・運用してきたため、維持・改善に多くの労力が必要でした。
しかし、ガバメントクラウドでは、構築済みのクラウド利用環境を活用できます。これにより、ハードウェアやOS、ミドルウェア、アプリケーションなどを整備・管理する手間が軽減される点がメリットです。

システムを柔軟に拡張できる

ガバメントクラウドを活用すれば、情報システムを必要に応じて拡張できます。クラウド上の仮想リソースをスピーディーかつ柔軟に調整できるため、システム構築のスピードアップや、開発サイクルの短縮につながります。

セキュリティレベルを高められる

政府機関で求められる高いセキュリティ基準をクリアしたクラウドサービスを利用できる点もメリットです。外部からのサイバー攻撃やデータ漏洩のリスクを低減し、安全性の高いシステムを構築できます。

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ガバメントクラウドの普及で国内データセンターが重要になる理由

ガバメントクラウドの普及によって、「自治体のシステム基盤がクラウド化されるなら、国内データセンターは不要になるのでは?」という意見も多く聞かれます。ここでは、国内データセンターが重要になる理由を2つ紹介します。

① クラウドサービス自体が国内データセンター上で稼働しているため

ガバメントクラウドの対象となっているクラウドサービスは、実際には国内のデータセンター上で稼働しています。2026年時点で、ガバメントクラウドの対象となっているクラウドサービスは、以下の5つです。

・Amazon Web Services(AWS)
・ Google Cloud
・ Microsoft Azure
・ Oracle Cloud Infrastructure
・ さくらのクラウド

クラウドは仮想的なサービスに見えますが、実際には物理的なデータセンターによって支えられているのです。

たとえば、Azureの場合は、日本国内に「Japan East(東日本)」や「Japan West(西日本)」といったリージョンを展開しています。これらは単一の施設ではなく、東京都や大阪府、埼玉県などに存在する複数のデータセンター群で構成されています。

行政が利用する情報システム基盤では、以下の5つが特に重要です。

・ 国内でのデータ保管
・ 通信遅延の低減
・ 災害対策
・日本法への準拠
・安定したシステム運用

そのため、ガバメントクラウドが普及したとしても、国内データセンターが不要になるわけではありません。むしろ、クラウド需要の増加によって、高性能かつ安全性の高い国内データセンターの需要はさらに拡大していくと考えられます。

② ハイブリッド構成を選択するケースもあるため

ガバメントクラウドへの移行では、すべてのシステムを一度にクラウドへ移行するのではなく、「ハイブリッド構成」を選択するケースもあります。
ハイブリッド構成とは、個人情報など機密性の高いデータを扱うシステムはオンプレミス環境に残し、移行可能なシステムのみをクラウド上へ移行する構成です。

この構成では、まず地方公共団体の近くにあるデータセンター(各地域のデータセンター)内に、各自治体のデータを保管するオンプレミスサーバを設置します。その後、各市区町村からの通信を地域データセンターへ集約し、閉域ネットワークを通じてクラウド接続拠点へ接続します。さらに、その接続拠点を経由してガバメントクラウドへ接続する流れです。

特に、東京や大阪など主要リージョンから距離のある地方自治体では、通信遅延や既存システムとの連携を考慮し、段階的にクラウド移行を進めるケースも少なくありません。

このように、すべてを一度に100%クラウド化するのではなく、オンプレミスとクラウドを組み合わせながら段階的に移行を進めるため、国内データセンターは今後も重要な役割を担うと考えられます。

「ガバメントクラウド移行で国内データセンターは不要になる? むしろ重要になる理由」のまとめ

今回は、ガバメントクラウドの概要やメリット、国内データセンターが今後さらに重要になる理由について詳しく解説しました。

ガバメントクラウドで利用されるクラウドサービスは、実際には国内データセンター上で稼働しています。さらに、自治体によってはオンプレミス環境とクラウドを組み合わせたハイブリッド構成を採用するケースもあるため、国内データセンターは今後も重要な役割を担っていくと考えられます。

今後、行政DXやAI活用が拡大することで、高性能で安全性の高い国内データセンターへの需要はさらに高まっていくと予想されます。

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