BCP対策としてのデータセンター選び:災害に強い拠点の見極め方 第19回 26年04月 / 最終更新:2026.04.23
目次
近年、日本各地で地震や豪雨などの自然災害が相次いでいます。加えて、サイバー攻撃によるシステム障害など、企業の事業継続を脅かすリスクは年々多様化しています。このような背景から、万が一の事態が発生しても事業を止めないための「BCP対策」が、多くの企業にとって重要な経営課題となっています。
BCP対策では、災害リスクから大事な情報資産を守るためのデータセンター選びも重要です。
本コラムでは、BCP対策の基本を押さえたうえで、災害に強いデータセンターをどのように見極めればよいのか、そのポイントを分かりやすく解説します。
BCP対策の重要性
BCP対策は、自然災害やシステム障害などの緊急時に事業を継続し、企業の価値や信頼を守るために非常に重要な取り組みです。
ここでは、BCPの基本的な考え方、事業継続を脅かすリスク、システム停止が事業に与える影響について解説します。

BCPとは
BCP(Business Continuity Plan)は、自然災害や事故、システム障害などの緊急事態が発生した際に、「重要な事業を中断させない」または「中断した場合でも早期に復旧させる」ための計画を指します。
BCP対策では、単に緊急時の対応マニュアルを作成するのではなく、平時からの備えや体制整備などを含め、経営レベルで取り組む必要があります。特に、デジタル化が進んだ現代では、システムを安定稼働させることは重要なポイントです。
事業継続を脅かすリスク
事業継続を脅かすリスクは、地震や台風、豪雨といった自然災害に加え、大規模停電や通信障害、さらには人的ミスなど多岐にわたります。特に、日本は地震が多い国であることから、建物の立地条件や耐震性などもBCP対策において重要なポイントです。
また、最近はランサムウェアなどのサイバー攻撃被害によって、大規模なシステム障害が発生するケースも増えています。BCPの観点では、サイバー攻撃を未然に防ぐための対策だけではなく、攻撃を受けた際に迅速にシステムを復旧させるための体制づくりも不可欠です。
システム停止が事業に与える影響
DX化が進んだ現代では、多くの業務がITシステムに依存しており、システムが停止した際の影響が深刻です。特に、基幹システムが停止すると、受発注業務が止まる、顧客対応ができなくなる、社内の連絡手段が失われるなど、事業全体に大きく影響します。
さらに、システムの停止時間が長引けば、売上減少などの経済的損失だけでなく、取引先や顧客からの信頼低下にもつながりかねません。
また、受発注システムが停止すると、自社だけではなくサプライチェーン全体へ影響が拡大し、販売店や消費者にまで混乱が広がる可能性があります。
BCP対策におけるデータセンターの役割
データセンターはシステムを安定稼働させるために欠かせない存在であり、BCP対策でも大きな役割を担っています。
ここでは、BCP対策におけるデータセンターの役割を解説します。
災害対策
BCP対策において、災害リスクから重要なデータやシステムを守ることは、データセンターの大きな役割のひとつです。データセンターでは、一般的に、災害リスクを考慮した立地選定や建物設計、地震に強い建物構造が採用されています。
災害リスクに対して、自社内でデータセンターと同等の対策を講じることは難しいため、専門的な設備のデータセンターを活用することで、コストを抑えながらリスクを低減することができます。
セキュリティ対策
データセンターは、セキュリティ対策を強化する役割も担っており、入退室管理や24時間監視などの物理セキュリティに加え、DDoS対策などのサイバーセキュリティ対策サービスも充実しています。

また、災害発生時には、人の出入りが増えたり、運用が混乱したりすることで、セキュリティ事故が起こりやすくなります。データセンターを利用することで、非常時においても高いセキュリティ水準を維持することができるため、情報漏えいのリスクを低減することができます。
データセンターのセキュリティ対策については、第9回のコラム「データセンターのセキュリティ対策」でも詳しく解説していますのでご参照ください。
システムの可用性確保
可用性とは、システムを必要なときに利用できる状態に維持する能力を指します。データセンターでは、システムの可用性を確保する役割を担っています。具体的には、電源や通信回線、空調設備などを冗長化することで、障害発生時にシステムが止まることなくサービスを継続できる仕組みが整えられています。
また、複数の拠点を持つデータセンターでは、拠点間でバックアップを取るなど、データ連携することで、災害時でもサービスを継続できる可能性が高くなります。
災害に強い拠点の見極め方
BCP対策としてデータセンターを選定する際には、災害に強い拠点を見極める必要があります。
ここでは、災害に強い拠点を見極めるためのチェックポイントを3つ紹介します。
チェックポイント①立地条件
見極める際にまず確認したいのが、データセンターの立地条件です。選定において、地震や水害の被災リスクが低い地域に建てられているかは重要な判断材料になります。各種災害の被災リスクについては、活断層図やハザードマップを活用して確認できます。河川の近くや低地に位置していないか、津波や浸水の想定区域に含まれていないかなどをあらかじめ確認しておくと安心です。

また、本社や主要拠点など、拠点間に適度に距離があるかも選定の際に重要なポイントです。同じ地域に拠点が集中していると、広域災害時に同時被災するリスクが高くなります。
ハザードマップの参考:内閣府『災害情報のページ』
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/hokenkyousai/riskinfo.html
チェックポイント②耐震構造
データセンターは、地震に強い「耐震構造」であることが一般的です。ただ、ひとえに耐震構造といっても、実際には耐震・免震・制震などいくつかの種類があります。採用されている構造によって、利用コストが異なるケースもあるため、自社の状況に合わせて適切なデータセンターを選定しましょう。
また、サーバラックがしっかりと固定されているかなど、設備面での耐震対策も併せて確認する必要があります。建物が無事でも、地震による機器の落下などで損傷してしまっては意味がありません。
データセンターの耐震については、第2回のコラム「データセンターの耐震について」でも詳しく解説していますのでご参照ください。
チェックポイント③非常用設備
災害に強い拠点を選定する際には、非常用設備の充実度も欠かせないポイントです。災害時には大規模な停電が発生する可能性があるため、UPS(無停電電源装置)や非常用発電機の有無、燃料の備蓄体制などを確認しましょう。
また、火災や水害からシステムを守るための防火設備や浸水対策などについても確認が必要です。

「BCP対策としてのデータセンター選び」のまとめ
BCP対策において、データセンターの選定は事業継続の土台となる重要な要素です。立地条件や耐震構造、非常用設備といったポイントを押さえて選定することで、災害発生時のリスクを大きく減らすことができます。
単にコストや立地の利便性だけで判断するのではなく、「万が一の際に事業を続けられるか」という視点でデータセンターを見極めることが大切です。自社のBCP方針に合ったデータセンターを選び、災害に強いIT基盤を整えましょう。
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